顔面非対称を伴う不正咬合症例における下顎頭の三次元形態学的特徴

「緒言」顔面非対称は, 先天性異常や咬合・顎関節の機能障害, 外傷などの様々な原因により, 顎顔面骨格の形態形成に左右差が生じて発現する. 下顎骨は顎顔面形態に多様性をもたらす主要な立体構造物の一つであり, 解剖学的には下歯槽神経を包む中心(コア)部と機能性突起から構成されている. さらに機能性突起は, 歯を支持する歯槽突起部, 関節機能を営む関節突起部および筋付着突起部に分けることができる. 中でも関節突起の先端に位置する下顎頭には下顎頭軟骨が存在し, その活発な軟骨内骨化により下顎骨で最も旺盛な成長を示す. その成長方向は後上方で, 下顎頭の成長に伴って下顎骨自体は, 前下方へと移動する....

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 26; no. 4; pp. 255 - 265
Main Authors 上地, 潤, 笹本, さえら, 今野, 正裕, 溝口, 到
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 15.12.2016
日本顎変形症学会
Subjects
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ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd.26.255

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Summary:「緒言」顔面非対称は, 先天性異常や咬合・顎関節の機能障害, 外傷などの様々な原因により, 顎顔面骨格の形態形成に左右差が生じて発現する. 下顎骨は顎顔面形態に多様性をもたらす主要な立体構造物の一つであり, 解剖学的には下歯槽神経を包む中心(コア)部と機能性突起から構成されている. さらに機能性突起は, 歯を支持する歯槽突起部, 関節機能を営む関節突起部および筋付着突起部に分けることができる. 中でも関節突起の先端に位置する下顎頭には下顎頭軟骨が存在し, その活発な軟骨内骨化により下顎骨で最も旺盛な成長を示す. その成長方向は後上方で, 下顎頭の成長に伴って下顎骨自体は, 前下方へと移動する. このような成長現象は, 下顎骨のposterior growth-anterior displacementと称され, 下顎頭の成長様相が顎顔面骨格の形態や咬合様式に大きな影響を及ぼすことが分かっている.
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd.26.255