脳卒中例におけるメタボリックシンドローム合併の実態

[1. はじめに] 糖尿病, 高血圧, 高コレステロール血症などは古典的危険因子として冠動脈疾患や脳卒中の発症に関与する. こうした個々の危険因子の集積が, 冠動脈疾患や脳卒中発症を相乗的に増加させることが, フラミンガム(Framingham)研究を代表とする複数の研究で示されてきた. 近年, 「危険因子の偶然の集積」ではなく, 互いに関連した危険因子が集積することによって, 脂質, 糖代謝異常病態が引き起こされ, 動脈硬化疾患発症の危険性の高い症候群を形成することが指摘されている. この症候群は, メタボリックシンドロームと呼ばれ, 近年大きな注目をあびている. メタボリックシンドロームの...

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Published in脳卒中 Vol. 28; no. 4; pp. 522 - 526
Main Authors 今村, 剛, 峰松, 一夫, 川瀬, 佳代子, 清原, 裕, 桑城, 貴弘, 粕谷, 潤二, 中垣, 英明, 板橋, 亮, 高田, 達郎, 横田, 千晶
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2006
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.28.522

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Summary:[1. はじめに] 糖尿病, 高血圧, 高コレステロール血症などは古典的危険因子として冠動脈疾患や脳卒中の発症に関与する. こうした個々の危険因子の集積が, 冠動脈疾患や脳卒中発症を相乗的に増加させることが, フラミンガム(Framingham)研究を代表とする複数の研究で示されてきた. 近年, 「危険因子の偶然の集積」ではなく, 互いに関連した危険因子が集積することによって, 脂質, 糖代謝異常病態が引き起こされ, 動脈硬化疾患発症の危険性の高い症候群を形成することが指摘されている. この症候群は, メタボリックシンドロームと呼ばれ, 近年大きな注目をあびている. メタボリックシンドロームの診断基準にはいくつかあるが, 2005年に我が国1)およびInternational Diabetes Federation2)より新たな診断基準が相次いで発表された. 現在我が国における臨床データは乏しく, 脳卒中発症および予後予測におけるメタボリックシンドロームの臨床意義は明らかではない. そこで今回我々は, 脳卒中例におけるメタボリック, シンドローム合併の実態につき, 久山町住民との比較検討を行った.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.28.522