成熟奇形腫を併発した胸髄脊髄髄膜瘤の1例

脊髄髄膜瘤の開放された脊髄断端に付随した組織の切除標本から,成熟奇形腫と診断された症例を経験した.脊髄奇形腫は全脊髄腫瘍の0.2~0.5%とされ,脊髄髄膜瘤に合併する頻度は低いため,術前に診断することは難しい.脊髄髄膜瘤の奇形腫合併症例をまとめた論文では,脊髄髄膜瘤に併発した奇形腫の治療成績は良好で,再発も少ないと報告されている.髄膜瘤表面に付随した組織があれば奇形腫の合併を考慮し,髄膜瘤の修復術に加えて可及的な摘出を行うが,可能であればモニタリングを併用して神経機能をさらに悪化させない手術を考慮すべきである....

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Published in小児の脳神経 Vol. 48; no. 4; pp. 375 - 379
Main Authors 牧野, 敬史, 生田, 源起, 田尻, 征治, 髙田, 明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児神経外科学会 2023
日本小児神経外科学会
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Summary:脊髄髄膜瘤の開放された脊髄断端に付随した組織の切除標本から,成熟奇形腫と診断された症例を経験した.脊髄奇形腫は全脊髄腫瘍の0.2~0.5%とされ,脊髄髄膜瘤に合併する頻度は低いため,術前に診断することは難しい.脊髄髄膜瘤の奇形腫合併症例をまとめた論文では,脊髄髄膜瘤に併発した奇形腫の治療成績は良好で,再発も少ないと報告されている.髄膜瘤表面に付随した組織があれば奇形腫の合併を考慮し,髄膜瘤の修復術に加えて可及的な摘出を行うが,可能であればモニタリングを併用して神経機能をさらに悪化させない手術を考慮すべきである.
ISSN:0387-8023
2435-824X
DOI:10.34544/jspn.48.4_375