術前ストーマサイトマーキングは緊急手術において術後ストーマ関連合併症を減少させる-単施設後方視的コホート研究

【目的】待機手術症例においてストーマサイトマーキングはストーマ関連合併症を減少させるのに重要であり、長期的な生活の質にも影響を及ぼす。しかし緊急手術においてストーマサイトマーキングの意義はわかっていない。本研究では、緊急手術における術前ストーマサイトマーキングがストーマ関連合併症を減少させるかどうかを検討した。【方法】前向きに登録したデータベースとカルテを参照することで2009~2022年に当院で緊急でストーマ造設術を受けた患者を、マーキング(+)群(194名)またはマーキング(-)群(151名)へ分類した。術前ストーマサイトマーキングの年次変遷と、マーキングが術後のストーマ関連合併症発生へ及...

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Published in日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌 Vol. 40; no. 2; pp. 62 - 74
Main Authors 野澤, 宏彰, 佐々木, 早苗, 林, 千恵子, 河﨑, 明子, 佐々木, 和人, 室野, 浩司, 江本, 成伸, 石原, 聡一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会 2024
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Summary:【目的】待機手術症例においてストーマサイトマーキングはストーマ関連合併症を減少させるのに重要であり、長期的な生活の質にも影響を及ぼす。しかし緊急手術においてストーマサイトマーキングの意義はわかっていない。本研究では、緊急手術における術前ストーマサイトマーキングがストーマ関連合併症を減少させるかどうかを検討した。【方法】前向きに登録したデータベースとカルテを参照することで2009~2022年に当院で緊急でストーマ造設術を受けた患者を、マーキング(+)群(194名)またはマーキング(-)群(151名)へ分類した。術前ストーマサイトマーキングの年次変遷と、マーキングが術後のストーマ関連合併症発生へ及ぼす影響を検討した。【結果】grade 2以上のストーマ関連合併症はマーキング(+)群で低率であった(24% vs 36%、p=0.010)。個別にはマーキング(+)群でストーマ部出血が少なく(2% vs 10%、p<0.001)、ストーマ周囲皮膚炎が低率であった(10% vs 18%、p=0.042)。術前ストーマサイトマーキングは、独立した術後ストーマ関連合併症のリスク因子であった(調整後オッズ比:1.69、p=0.034)。【結論】緊急手術での術前ストーマサイトマーキングは術後ストーマ関連合併症低減と関連した。今後前向きの研究でその有用性を検証すべきである。
ISSN:1882-0115
2434-3056
DOI:10.32158/jsscr.40.2_62