上顎悪性腫瘍切除後にインクジェット法を利用した三次元積層造形モデルによる顎補綴を行った1例

上顎悪性腫瘍に対する術後の欠損部位に対して,再建手術が進歩した現在でも顎義歯が多く適応されている。顎義歯には中空型と天蓋開放型があるが,浸水液が貯留して雑菌の繁殖や発音時の音のひずみ,共鳴といった欠点がある。 近年,CTなどの三次元画像データからCAD/CAM技術を応用し,実物と同形態の立体モデルが製作可能な光造型装置が臨床応用されるようになった。しかし,モデル作製に費用と時間を要するものであった。 今回,われわれは上顎悪性腫瘍切除後の顎義歯作製時に従来型の光造型法に代わり,インクジェット法を利用した三次元積層造形モデルを応用した。本法は軟部組織を抽出し,モデル化することによって口腔内印象では...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 24; no. 4; pp. 155 - 163
Main Authors 今井, 裕一郎, 上田, 順宏, 畠中, 利英, 柳生, 貴裕, 中村, 泰士, 山川, 延宏, 青木, 久美子, 山中, 康嗣, 桐田, 忠昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会 2012
日本口腔腫瘍学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:上顎悪性腫瘍に対する術後の欠損部位に対して,再建手術が進歩した現在でも顎義歯が多く適応されている。顎義歯には中空型と天蓋開放型があるが,浸水液が貯留して雑菌の繁殖や発音時の音のひずみ,共鳴といった欠点がある。 近年,CTなどの三次元画像データからCAD/CAM技術を応用し,実物と同形態の立体モデルが製作可能な光造型装置が臨床応用されるようになった。しかし,モデル作製に費用と時間を要するものであった。 今回,われわれは上顎悪性腫瘍切除後の顎義歯作製時に従来型の光造型法に代わり,インクジェット法を利用した三次元積層造形モデルを応用した。本法は軟部組織を抽出し,モデル化することによって口腔内印象では得ることのできない上顎悪性腫瘍切除後の欠損腔全体をモデル化することが可能となり,アンダーカットを有効に活用した辺縁封鎖性の良い空気注入式顎義歯製作に有効な方法であると思われた。
ISSN:0915-5988
1884-4995
DOI:10.5843/jsot.24.155