周術期サルコペニア発生の予防法

「はじめに」 サルコペニア(Sarcopenia)とは「加齢に伴う筋力の低下, または老化に伴う筋肉量の減少」を指し, Rosenbergにより提唱された比較的新しい造語である. サルコペニアは一次性サルコペニアと二次性サルコペニアに分けられ, 前者は加齢によるものであり, 一方, 後者は活動性の低下(廃用)や低栄養, 臓器不全や侵襲, 腫瘍などの疾患に伴うものである. 近年, 術前のサルコペニア合併が術後短期合併症に影響を及ぼすことはさることながら, 術後長期予後にも関与することが報告されている. しかし, 術後のサルコペニア発症, すなわち, 手術侵襲などによる二次性の術後サルコペニア発症...

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Published in外科と代謝・栄養 Vol. 50; no. 1; pp. 21 - 28
Main Authors 齋藤裕, 濱田康弘, 安井苑子, 池本哲也, 森根裕二, 居村暁, 島田光生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本外科代謝栄養学会 2016
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Summary:「はじめに」 サルコペニア(Sarcopenia)とは「加齢に伴う筋力の低下, または老化に伴う筋肉量の減少」を指し, Rosenbergにより提唱された比較的新しい造語である. サルコペニアは一次性サルコペニアと二次性サルコペニアに分けられ, 前者は加齢によるものであり, 一方, 後者は活動性の低下(廃用)や低栄養, 臓器不全や侵襲, 腫瘍などの疾患に伴うものである. 近年, 術前のサルコペニア合併が術後短期合併症に影響を及ぼすことはさることながら, 術後長期予後にも関与することが報告されている. しかし, 術後のサルコペニア発症, すなわち, 手術侵襲などによる二次性の術後サルコペニア発症に関する具体的予防策などの報告は極めて少ないのが現状である. そこで今回, 術後サルコペニアの発症・予防を考える上でI サルコペニアの病態把握, II サルコペニアの診断, III サルコペニアへの治療介入, そして, IV 当科における周術期栄養評価を紹介する.
ISSN:0389-5564
DOI:10.11638/jssmn.50.1_21