日本における消化管ストーマの造設・閉鎖に関する実態調査

【背景・目的】日本では、ストーマ造設やストーマ閉鎖の実数は把握されていない。本研究の目的は、日本における消化管ストーマ造設・閉鎖の件数を把握するための調査を行うことである。【方法】対象は、National Clinical Databaseに登録された特定の消化器外科手術を受けた患者である。対象となる術式は、日本消化器外科学会の策定した「消化器外科専門医共通項目」を用いて2013年から2018年に登録された手術である。【結果】National Clinical Databaseによると、2013年1月1日から2018年12月31日までに、合計154,323件の消化管ストーマが造設された。術式別...

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Published in日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌 Vol. 40; no. 2; pp. 46 - 61
Main Authors 安藤, 嘉子, 髙橋, 新, 藤井, 誠, 長谷川, 寛, 木村, 聡元, 山本, 博之, 田嶋, 哲也, 西口, 幸雄, 掛地, 吉弘, 宮田, 浩章, 北川, 雄光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会 2024
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Summary:【背景・目的】日本では、ストーマ造設やストーマ閉鎖の実数は把握されていない。本研究の目的は、日本における消化管ストーマ造設・閉鎖の件数を把握するための調査を行うことである。【方法】対象は、National Clinical Databaseに登録された特定の消化器外科手術を受けた患者である。対象となる術式は、日本消化器外科学会の策定した「消化器外科専門医共通項目」を用いて2013年から2018年に登録された手術である。【結果】National Clinical Databaseによると、2013年1月1日から2018年12月31日までに、合計154,323件の消化管ストーマが造設された。術式別では、ストーマ造設術が78,723件、腹会陰式直腸切断術が39,653件、骨盤内臓全摘術が2,470件、ハルトマン手術が33,572件であった。ストーマ造設に対するストーマ閉鎖の比率は、70 歳未満の患者では年々増加していたが、それより高齢の患者では増加していなかった。概ね、結腸全摘術の35%、大腸全摘術の60%、低位前方切除術の20%がストーマ造設を伴っていた。調査期間中、直腸癌でストーマを造設した患者の数は徐々に増加し、ストーマを造設した患者の総数は高齢者ほど多くなっていた。【結論】日本における消化管ストーマ造設件数は徐々に増加し、高齢者の割合が年々増加している。ストーマ造設の目的や術式は多様であり、超高齢社会である日本では今後も増加することが予想される。
ISSN:1882-0115
2434-3056
DOI:10.32158/jsscr.40.2_46