神経・筋疾患を標的とした核酸医薬の基礎と臨床

「はじめに」核酸医薬は抗体医薬や遺伝子治療薬と並ぶ分子標的薬である. 2016年12月にnusinersenが, 脊髄性筋萎縮症に対する初の病態改善を可能とする治療薬としてアメリカ食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration: FDA)によって承認されたことに続き, 近年の核酸医薬品の進歩は特に目覚ましく, Duchenne型ジストロフィーやトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーなどの神経筋疾患を対象とした核酸医薬が相次いで承認された. 2020年には本邦が開発した初の核酸医薬であるviltolarsenが承認され, 我が国の核酸医薬技術のブ...

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Published in神経治療学 Vol. 40; no. 3; pp. 237 - 241
Main Authors 勝山, 真帆, 横田, 隆徳, 吉岡, 耕太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経治療学会 2023
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ISSN0916-8443
2189-7824
DOI10.15082/jsnt.40.3_237

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Summary:「はじめに」核酸医薬は抗体医薬や遺伝子治療薬と並ぶ分子標的薬である. 2016年12月にnusinersenが, 脊髄性筋萎縮症に対する初の病態改善を可能とする治療薬としてアメリカ食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration: FDA)によって承認されたことに続き, 近年の核酸医薬品の進歩は特に目覚ましく, Duchenne型ジストロフィーやトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーなどの神経筋疾患を対象とした核酸医薬が相次いで承認された. 2020年には本邦が開発した初の核酸医薬であるviltolarsenが承認され, 我が国の核酸医薬技術のブレイクスルーとなった. 本稿では神経筋疾患を対象に日本で承認された核酸医薬品を中心に作用機序や開発過程について解説する. 「I. 神経筋疾患で用いられる核酸医薬(アンチセンス核酸)の作用機序」「1. アンチセンス核酸(antisense oligonucleotide: ASO)」核酸医薬は化学合成により製造された核酸が遺伝子を介さずに直接標的分子に作用するもので, 高い特異性と有効性が特徴である.
ISSN:0916-8443
2189-7824
DOI:10.15082/jsnt.40.3_237