経口メチルセルロース/アルギン酸液剤の物性に及ぼす薬物の影響

薬物治療において, 経口投与は安全かつ簡便な投与経路であり, 固形製剤をはじめとする内服薬が汎用されている. 一方で, 高齢患者や脳疾患後遺症を有する患者など, 嚥下機能が低下している患者にとって, 錠剤やカプセル剤などの固形製剤の服用は容易ではない1~6). このような患者には, 錠剤の粉砕やカプセルの開封, さらに簡易懸濁法など, 様々な工夫を凝らして薬を投与することになる. しかし, これらの操作は腸溶性, 徐放性といったDDS技術による製剤工夫を損ない, 目的の治療効果が発揮されないおそれがある7). そのため, 嚥下機能低下患者の服薬コンプライアンスと治療効果の観点から, 易服用性を...

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Published in薬剤学 Vol. 74; no. 1; pp. 73 - 83
Main Authors 下山, 哲哉, 浦木, 睦, 高橋, 彩, 小林, 正拓, 高畑, 雅臣, 牧野, 陽佑, 伊藤, 邦彦, 小林, 道也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬剤学会 2014
日本薬剤学会
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Summary:薬物治療において, 経口投与は安全かつ簡便な投与経路であり, 固形製剤をはじめとする内服薬が汎用されている. 一方で, 高齢患者や脳疾患後遺症を有する患者など, 嚥下機能が低下している患者にとって, 錠剤やカプセル剤などの固形製剤の服用は容易ではない1~6). このような患者には, 錠剤の粉砕やカプセルの開封, さらに簡易懸濁法など, 様々な工夫を凝らして薬を投与することになる. しかし, これらの操作は腸溶性, 徐放性といったDDS技術による製剤工夫を損ない, 目的の治療効果が発揮されないおそれがある7). そのため, 嚥下機能低下患者の服薬コンプライアンスと治療効果の観点から, 易服用性を兼ね備えたDDS製剤の開発が活発に行われている. 我々は天然高分子多糖のゲル化能を利用して, 服用に適した粘性を有し, かつ服用すると胃内でゲル化して薬物放出を制御する, 経口徐放性液剤の設計を行ってきた.
ISSN:0372-7629
2188-3149
DOI:10.14843/jpstj.74.73