抗精神病薬とbenzodiazepineの中断により悪性カタトニアを発症した1例

「要約」症例は統合失調症の48歳女性. 定期のaripiprazole投与後に昏迷, 無動, 無言, 一点凝視などのカタトニア症状を来した. その後, 常用していた抗精神病薬とbenzodiazepineが中断され, 発熱と筋強剛が悪化した. 悪性症候群の診断基準を満たしたが, dantrolene, bromocriptineの効果がなく, diazepam静注により劇的に改善し, 悪性カタトニアと診断された. 悪性カタトニアは, カタトニアに発熱や自律神経症状を合併する状態である. 抗精神病薬による悪性カタトニアは, 悪性症候群に類似した症状を呈するが, その発症機序は明らかにされていない...

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Published in神経治療学 Vol. 38; no. 5; pp. 748 - 751
Main Authors 瀧瀬康洋, 新村浩透
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経治療学会 2021
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Summary:「要約」症例は統合失調症の48歳女性. 定期のaripiprazole投与後に昏迷, 無動, 無言, 一点凝視などのカタトニア症状を来した. その後, 常用していた抗精神病薬とbenzodiazepineが中断され, 発熱と筋強剛が悪化した. 悪性症候群の診断基準を満たしたが, dantrolene, bromocriptineの効果がなく, diazepam静注により劇的に改善し, 悪性カタトニアと診断された. 悪性カタトニアは, カタトニアに発熱や自律神経症状を合併する状態である. 抗精神病薬による悪性カタトニアは, 悪性症候群に類似した症状を呈するが, その発症機序は明らかにされていない. 本例の検討から抗精神病薬とbenzodiazepineの中断により, ドパミン系, gamma-amino butyric acid(GABA)系, および両者の間のフィードバック回路が障害され, 悪性カタトニアを発症すると推測した. 抗精神病薬とbenzodiazepineは併用されることが多く, 悪性カタトニアは悪性症候群と診断され, 見過ごされている可能性がある.
ISSN:0916-8443
DOI:10.15082/jsnt.38.5_748