インプラントカラー部の厚さが最大曲げ荷重とひずみに及ぼす影響

目的:本研究はインプラントカラー部の肉厚が最大曲げ荷重,変形量とひずみに及ぼす影響を明らかにすることを目的に行った.材料および方法:カラー部の肉厚は0.7 mm(T07),0.8 mm(T08)および0.9 mm(T09)に変化させ,アバットメントは三者とも同じ寸法に純チタンを加工し用いた.最大曲げ荷重,変形量,カラー部のひずみ(荷重100 Nから800 Nまで)の測定およびCTによる内部観察を行った.各測定はインプラントの傾斜角度20°(傾斜20°)および30°(傾斜30°)にて行った.結果および考察:傾斜20°における最大曲げ荷重は肉厚が増加するほど大きくなった.一方,傾斜30°における最...

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Published in日本口腔インプラント学会誌 Vol. 34; no. 2; pp. 141 - 150
Main Authors 河野, 恭範, 臼井, 龍一, 上野, 憲秀, 村上, 智, 名取, 健寿, 輿, 秀利, 伊藤, 充雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本口腔インプラント学会 30.06.2021
日本口腔インプラント学会
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Summary:目的:本研究はインプラントカラー部の肉厚が最大曲げ荷重,変形量とひずみに及ぼす影響を明らかにすることを目的に行った.材料および方法:カラー部の肉厚は0.7 mm(T07),0.8 mm(T08)および0.9 mm(T09)に変化させ,アバットメントは三者とも同じ寸法に純チタンを加工し用いた.最大曲げ荷重,変形量,カラー部のひずみ(荷重100 Nから800 Nまで)の測定およびCTによる内部観察を行った.各測定はインプラントの傾斜角度20°(傾斜20°)および30°(傾斜30°)にて行った.結果および考察:傾斜20°における最大曲げ荷重は肉厚が増加するほど大きくなった.一方,傾斜30°における最大曲げ荷重はT07が最も小さく,T08とT09の差は認められなかった.変形量は両傾斜角度ともT07が最も大きく,T08とT09の差は認められなかった.傾斜20°におけるT07の0.1%以上のひずみは荷重500 Nで生じ,T08とT09は荷重600 Nであった.傾斜30°におけるT07とT08の0.1%以上のひずみは荷重400 Nで生じ,T09は荷重500 Nであった.荷重800 Nにおける傾斜20°のひずみは三者とも0.3%以下であり,傾斜30°においてT09以外は0.3%以上であった.T09のひずみは荷重300 Nから両傾斜角度の差が認められなかった.内部観察の結果,アバットメントとカラー部の先端に隙間が認められ,スクリューの上部は塑性変形し切削粉の排出孔に侵入していた.結論:最大曲げ荷重が小さく変形量の大きいT07は機械的偶発症に配慮することと,傾斜30°でひずみの大きいT07とT08は生物学的偶発症に配慮する必要性が示唆された.
ISSN:0914-6695
2187-9117
DOI:10.11237/jsoi.34.141