スタチン療法の意義:J-STARSを中心に

「はじめに」食生活の欧米化などの生活習慣の変化や高齢者の増加などにより, アテローム動脈硬化を基盤とした虚血性脳血管障害の増加が危惧されている. 事実, 平成12年度の調査では虚血性脳血管障害(16, 922例)に占めるアテローム血栓性脳梗塞の頻度は31.1%であり, ラクナ梗塞の36. 3%に迫る頻度となっている1). さらに, 糖尿病, 高脂血症などの危険因子の有病率の急速な増加2)はこの傾向にますます拍車をかけるものと思われる. 高脂血症は虚血性心疾患の強力な危険因子であることが確立されているが, 脳卒中との関係は必ずしも明らかとされていなかった. これには, (1)高脂血症により動脈硬...

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Published in脳卒中 Vol. 26; no. 4; pp. 651 - 655
Main Authors 郡山, 達男, 松本, 昌泰, 野村, 栄一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2004
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.26.651

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Summary:「はじめに」食生活の欧米化などの生活習慣の変化や高齢者の増加などにより, アテローム動脈硬化を基盤とした虚血性脳血管障害の増加が危惧されている. 事実, 平成12年度の調査では虚血性脳血管障害(16, 922例)に占めるアテローム血栓性脳梗塞の頻度は31.1%であり, ラクナ梗塞の36. 3%に迫る頻度となっている1). さらに, 糖尿病, 高脂血症などの危険因子の有病率の急速な増加2)はこの傾向にますます拍車をかけるものと思われる. 高脂血症は虚血性心疾患の強力な危険因子であることが確立されているが, 脳卒中との関係は必ずしも明らかとされていなかった. これには, (1)高脂血症により動脈硬化の進行する程度は血管により異なる, (2)脳卒中の臨床病型により高脂血症の危険因子としての意義が異なる, (3)人種, 地域により脳卒中の臨床病型の頻度が異なる, (4)高脂血症を充分にコントロールできる薬物が不足していた, などの要因が関わるものと考えられる. しかしながら, HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)を用いた大規模臨床試験により, 虚血性心疾患の発症予防のみならず脳梗塞の発症予防にもスタチンが有効であるとの結果が示され, 脳卒中危険因子としての高脂血症の意義が注目されている3).
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.26.651