コントロール不良の糖尿病に対する重症化予防プログラム : 個人面談と保険者・医療者連携の試み
「抄録」当健保が2014年度から開始した糖尿病重症化予防プログラムについて概要と経過を報告する. 対象は2013年度健診でHbA1cが8.4%以上であった13名で, 健保常勤医師による面談と全身の診察, 手帳による受診管理と保険者・医療者連携からなる介入プログラムを実施した. 2013年度健診データ(前値)と, 面談6か月後のHbA1cおよび体重を評価項目とした. 面談6か月後の体重変化と糖尿病に対する主治医の投薬変更について関連性を考察した. さらに対象者の2016年度健診データから本プログラムの長期的な効果を検討した. 評価項目のうちHbA1cは, 前値10.1±1.3%に対し, 面談6か...
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Published in | 総合健診 Vol. 44; no. 6; pp. 796 - 800 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本総合健診医学会
2017
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Summary: | 「抄録」当健保が2014年度から開始した糖尿病重症化予防プログラムについて概要と経過を報告する. 対象は2013年度健診でHbA1cが8.4%以上であった13名で, 健保常勤医師による面談と全身の診察, 手帳による受診管理と保険者・医療者連携からなる介入プログラムを実施した. 2013年度健診データ(前値)と, 面談6か月後のHbA1cおよび体重を評価項目とした. 面談6か月後の体重変化と糖尿病に対する主治医の投薬変更について関連性を考察した. さらに対象者の2016年度健診データから本プログラムの長期的な効果を検討した. 評価項目のうちHbA1cは, 前値10.1±1.3%に対し, 面談6か月後は8.1±1.4%と有意に低下した(p<0.01). 体重は, 前値が78.5±13.8kg, 面談6か月後が80.0±14.0kgであった(NS). 体重が前値に比べて2kg以上増加した群において, インスリンまたはインスリン分泌促進薬の増量との関連が示唆された. プログラム開始後に投薬が増量されてHbA1cは改善したが, 体重が増加した例が少なくないことが課題として示された. 2016年度健診における医療機関受診継続者12名のHbA1cは7.8±1.9%であり, 長期的にも効果の継続が認められた. 以上よりコントロール不良の糖尿病に対する本プログラムは, 短期および長期の両方でHbA1cに対する改善効果が認められた. 一方で, 投薬増量によりHbA1cは改善しても本人の生活習慣の改善が十分でない場合も認められ, 治療薬への依存がさらに大きくなる可能性も示唆された. これらの結果を踏まえて, 今後はコラボヘルスにより事業主との連携をさらに深めた介入プログラムを導入し, 糖尿病重症化予防の効果について検証を続けていく予定である. |
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ISSN: | 1347-0086 |
DOI: | 10.7143/jhep.44.796 |