エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023
慢性腎臓病(CKD)は末期腎不全の原因であると同時に、心血管疾患(CVD)発症および死亡のリスク因子としても認識されるようになった。日本では慢性透析患者数が他国と比較して多く、高齢化に伴うCKD患者数の増加も予測され、重要な課題となっている。CKD診療の普及・啓発にはこれまでも診療ガイドラインが大きな役割を果たしてきた。2002年にKDOQI(National Kidney Foundation’s Kidney Disease Outcomes Quality Initiative)が診断と管理に関するガイドラインを公表し、その後KDIGO(Kidney Disease: Improving...
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Published in | 総合健診 Vol. 52; no. 2; pp. 362 - 369 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本総合健診医学会
10.03.2025
日本総合健診医学会 |
Subjects | |
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Summary: | 慢性腎臓病(CKD)は末期腎不全の原因であると同時に、心血管疾患(CVD)発症および死亡のリスク因子としても認識されるようになった。日本では慢性透析患者数が他国と比較して多く、高齢化に伴うCKD患者数の増加も予測され、重要な課題となっている。CKD診療の普及・啓発にはこれまでも診療ガイドラインが大きな役割を果たしてきた。2002年にKDOQI(National Kidney Foundation’s Kidney Disease Outcomes Quality Initiative)が診断と管理に関するガイドラインを公表し、その後KDIGO(Kidney Disease: Improving Global Outcomes)がこれを継承している。日本腎臓学会は、かかりつけ医との病診連携を行うためのツールとして2007年に「CKD診療ガイド」を発刊し、2009年および2012年に改訂された。2009年には、腎臓専門医を対象とした「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン」を発刊、2013年にはCQ形式を採用した改訂版が発刊されている。その後、2018年には非専門医も利用者に想定した「CKD診療ガイドライン」を全面改訂するとともに、「患者さんとご家族のためのCKD療養ガイド」が発刊された。 「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」では、CQ形式に限定せず、エキスパートオピニオンを含むテキスト解説とCQを併存させた点が変更点となっている。また情報量が多いとの指摘を受け、非専門医やメディカルスタッフ向けの簡便な「CKD診療ガイド2024」と患者およびその家族向けの「CKD療養ガイド2024」の改訂版も作成された。これらの取り組みにより、「CKD診療ガイドライン2023」の位置づけが明確化され、CKDの早期発見、診療連携の強化、進行阻止が進むことで、CVD発症や透析導入の抑制、市民の健康増進につながることが期待されている。 |
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ISSN: | 1347-0086 1884-4103 |
DOI: | 10.7143/jhep.52.362 |