女性にみる大腸腺腫発生リスクの変容

女性における大腸腺腫発生のリスク因子を経年変化と年次推移から検討した。対象および方法は1992 年4 月から2007 年3 月までの15 年間に大腸肛門病センター高野病院健診センターで内視鏡検査の初回受診者8,890 名について,経年変化では年齢階級別に調査した結果,大腸腺腫発見率が有意に高値を示した年代を転換期とした。さらに受診時期で前期(1992 年4 月~1998 年3 月)と後期(1998 年4 月~2007 年3 月)に大別し,各時代で肥満,総コレステロール,HDL-コレステロール,中性脂肪,LDL-コレステロール,空腹時血糖値,腹囲などについて,転換期を加味して大腸腺腫との関連性を...

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Published in総合健診 Vol. 37; no. 3; pp. 398 - 404
Main Authors 佐藤, 友美, 野崎, 良一, 春間, 賢, 鎌田, 智有, 山田, 一隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本総合健診医学会 2010
日本総合検診医学会
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ISSN1347-0086
1884-4103
DOI10.7143/jhep.37.398

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Summary:女性における大腸腺腫発生のリスク因子を経年変化と年次推移から検討した。対象および方法は1992 年4 月から2007 年3 月までの15 年間に大腸肛門病センター高野病院健診センターで内視鏡検査の初回受診者8,890 名について,経年変化では年齢階級別に調査した結果,大腸腺腫発見率が有意に高値を示した年代を転換期とした。さらに受診時期で前期(1992 年4 月~1998 年3 月)と後期(1998 年4 月~2007 年3 月)に大別し,各時代で肥満,総コレステロール,HDL-コレステロール,中性脂肪,LDL-コレステロール,空腹時血糖値,腹囲などについて,転換期を加味して大腸腺腫との関連性を検討した。有意差検定にはMann-Whitney U 検定ないしX2 検定にて比較検討し,連続変数については平均値 ± 標準偏差(mean ± SD)で表わした。さらに統計的解析にはロジスティック回帰分析(the binary data)をDr. SPSS II for Windows XP を用い,p = 0.05 未満をもって統計学的に有意差ありとし,オッズ比(OR)を算出した。  解析の結果,加齢に伴い大腸腺腫発見率は有意に高くなり,ことに50 歳代から有意に高値を示し,この50 歳前後が節目と考えられ,転換期とした。さらに大腸腺腫発生のリスク因子は前期では50 歳未満は中性脂肪が1 増加ごとに1.004 倍,中性脂肪値150 mg/dl 以上では2.682 倍と有意に高くなった。一方,後期の50 歳未満では中性脂肪の1 増加は1.003 倍,中性脂肪値150 mg/dl 以上は1.663 倍,空腹時血糖値110 mg/dl 以上では2.363 倍,腹囲1 cm 増大は1.037 倍,90 cm 以上では2.684 倍と有意なリスクとなった。また50 歳以上では各時代ともに加齢により大腸腺腫発生のリスクは有意に高くなった。以上から,加齢は大腸腺腫の有意なリスクとなり,生活習慣関連因子別では中性脂肪,空腹時血糖,腹囲増大で腺腫発生率が有意に高く,特に50 歳未満でその相関が強く認められた。受診時期を前期(18~12 年前)・後期(12~3 年前)に区分した検討では前期に比して後期に関連性が強くみられ,同じ関連因子でも年齢や受診時期によって腺腫発生率に違いを生じる可能性があり,その要因として食生活の変化や運動量が関係していると考えられた。
ISSN:1347-0086
1884-4103
DOI:10.7143/jhep.37.398