COVID-19患者の気管切開 —大規模研究によるエビデンス

「はじめに」 新型コロナウィルス感染症COVID-19は2020年の流行初期には多くの患者が重症化し, 欧米各国のICUが気管挿管されたCOVID-19患者で埋め尽くされた. 気管挿管された患者は, 人工呼吸器から離脱する過程において一定割合で気管切開を必要とする. 気管切開には経皮的気管切開と外科的気管切開がある. 耳鼻咽喉科・頭頸部外科医が主に関わるのは外科的気管切開である. もともと外科的気管切開術は耳鼻咽喉科・頭頸部外科医にとっては基本手技のうちの一つであるが, COVID-19患者の気管切開術では医療者が感染するリスクへの対策が必要である. 本疾患はエアロゾルを媒体として極めて容易に...

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Published in喉頭 Vol. 36; no. 1; pp. 9 - 17
Main Author 有泉, 陽介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本喉頭科学会 01.06.2024
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ISSN0915-6127
2185-4696
DOI10.5426/larynx.36.9

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Summary:「はじめに」 新型コロナウィルス感染症COVID-19は2020年の流行初期には多くの患者が重症化し, 欧米各国のICUが気管挿管されたCOVID-19患者で埋め尽くされた. 気管挿管された患者は, 人工呼吸器から離脱する過程において一定割合で気管切開を必要とする. 気管切開には経皮的気管切開と外科的気管切開がある. 耳鼻咽喉科・頭頸部外科医が主に関わるのは外科的気管切開である. もともと外科的気管切開術は耳鼻咽喉科・頭頸部外科医にとっては基本手技のうちの一つであるが, COVID-19患者の気管切開術では医療者が感染するリスクへの対策が必要である. 本疾患はエアロゾルを媒体として極めて容易に周囲へ感染を広げていくことが特徴の一つである. 気管切開術はエアロゾルを発生させる処置(AGPs: aerosol-generating procedures)であり, 手術の際は馴染みのない防護具の使用と, エアロゾルを発生させないよう厳密な手順が求められた.
ISSN:0915-6127
2185-4696
DOI:10.5426/larynx.36.9