動静脈瘻合併による心不全を呈した右総腸骨動脈瘤の1例

要  旨:右総腸骨動脈瘤が左総腸骨静脈へ穿破し,動静脈瘻を形成し心不全を呈した症例を経験したので報告する.症例は86歳,男性.左下肢腫脹を主訴に近医受診した.右総腸骨動脈瘤を指摘され当科へ紹介となった.CTで動静脈瘻を合併した右総腸骨動脈瘤(6.6 cm),左内腸骨動脈瘤(6 cm)が認められ手術予定であった.その後,両下肢腫脹と呼吸困難を認め,心不全と診断され,同日緊急入院した.心不全症状の改善を待って,手術を施行した.右総腸骨動脈瘤後壁に存在した3 cm × 1 cmの瘻孔を瘤内腔から直接縫合閉鎖し,腹部大動脈以下はY字人工血管にて置換した.われわれが検索しえた腸骨動静脈瘻の自験例を含めた...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 21; no. 6; pp. 725 - 728
Main Authors 山下, 慶悟, 多林, 伸起, 吉川, 義朗, 阿部, 毅寿, 廣瀬, 友亮, 谷ロ, 繁樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 25.10.2012
日本血管外科学会
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Summary:要  旨:右総腸骨動脈瘤が左総腸骨静脈へ穿破し,動静脈瘻を形成し心不全を呈した症例を経験したので報告する.症例は86歳,男性.左下肢腫脹を主訴に近医受診した.右総腸骨動脈瘤を指摘され当科へ紹介となった.CTで動静脈瘻を合併した右総腸骨動脈瘤(6.6 cm),左内腸骨動脈瘤(6 cm)が認められ手術予定であった.その後,両下肢腫脹と呼吸困難を認め,心不全と診断され,同日緊急入院した.心不全症状の改善を待って,手術を施行した.右総腸骨動脈瘤後壁に存在した3 cm × 1 cmの瘻孔を瘤内腔から直接縫合閉鎖し,腹部大動脈以下はY字人工血管にて置換した.われわれが検索しえた腸骨動静脈瘻の自験例を含めた本邦での29例の報告を検討したので報告する.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.21.725