動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版の概要と、健診におけるその活用法

脂質異常症は動脈硬化性疾患の重要なリスクであり、イベント抑制のためにその管理が重要である。日本動脈硬化学会(JAS)は1997年に高脂血症診療ガイドラインを発出して以降、疫学研究や臨床試験などの新たな知見の累積を受けて5年ごとにガイドラインを改訂しており、2022年には最新版である動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版を発出した。前版からの改訂点としては、アテローム血栓性脳梗塞を二次予防疾患に加えたこと、脂質異常症診断基準に随時の中性脂肪の値を加えたこと、一次予防のリスク層別化ツールに久山町スコアを採用したこと、糖尿病に関する管理目標値を部分的に変更したこと、が挙げられる。さて、日本では労...

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Published in総合健診 Vol. 52; no. 2; pp. 353 - 361
Main Author 塚本, 和久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本総合健診医学会 10.03.2025
日本総合健診医学会
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Summary:脂質異常症は動脈硬化性疾患の重要なリスクであり、イベント抑制のためにその管理が重要である。日本動脈硬化学会(JAS)は1997年に高脂血症診療ガイドラインを発出して以降、疫学研究や臨床試験などの新たな知見の累積を受けて5年ごとにガイドラインを改訂しており、2022年には最新版である動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版を発出した。前版からの改訂点としては、アテローム血栓性脳梗塞を二次予防疾患に加えたこと、脂質異常症診断基準に随時の中性脂肪の値を加えたこと、一次予防のリスク層別化ツールに久山町スコアを採用したこと、糖尿病に関する管理目標値を部分的に変更したこと、が挙げられる。さて、日本では労働安全衛生法により企業等での従業員に対する健康診断が義務化され、被扶養者などに対する特定健診も行われており、本学会に参画している健診施設では受診者の医療機関への紹介などの対応が必要となる。厚生労働省健康局の「標準的な健診・保健指導プログラム」を参考にして、医療機関紹介基準などを設定している健診施設が多いと考えるが、この基準ではガイドラインの意図とは少し異なることになる。本稿では動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版を概説するとともに、健診施設などでのその利用方法について提案したい。
ISSN:1347-0086
1884-4103
DOI:10.7143/jhep.52.353