せん妄/高齢者における脳症 ―神経老年学的アプローチ
せん妄は,急性の認知機能の低下と意識の低下が同時にみられるもので,不穏・行動異常をしばしば伴う.せん妄は,歩行障害を同時に伴うことが非常に多い.基礎に加齢性脳疾患(Alzheimer病+白質型多発性脳梗塞,またはLewy小体型認知症,アルコール(中毒)症に伴う認知症など)に伴う認知症・歩行障害がある高齢者に,a)急性の頭蓋内病変,または b)急性の全身疾患が重畳することで起きることが多く,a)とb)の比率は15% : 85%とも言われ,後者が多い.後者の代表的なものである誤嚥性肺炎・手術後などによる全身炎症に伴う脳症は,末梢のTNF alpha等のサイトカインが,血液脳関門を通過し,神経障害を...
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Published in | 神経治療学 Vol. 39; no. 3; pp. 412 - 416 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経治療学会
2022
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Subjects | |
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ISSN | 0916-8443 2189-7824 |
DOI | 10.15082/jsnt.39.3_412 |
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Summary: | せん妄は,急性の認知機能の低下と意識の低下が同時にみられるもので,不穏・行動異常をしばしば伴う.せん妄は,歩行障害を同時に伴うことが非常に多い.基礎に加齢性脳疾患(Alzheimer病+白質型多発性脳梗塞,またはLewy小体型認知症,アルコール(中毒)症に伴う認知症など)に伴う認知症・歩行障害がある高齢者に,a)急性の頭蓋内病変,または b)急性の全身疾患が重畳することで起きることが多く,a)とb)の比率は15% : 85%とも言われ,後者が多い.後者の代表的なものである誤嚥性肺炎・手術後などによる全身炎症に伴う脳症は,末梢のTNF alpha等のサイトカインが,血液脳関門を通過し,神経障害を起こすことが推察されている.せん妄患者をみた際,加齢性脳疾患,急性の頭蓋内または全身疾患を,できるだけ同時に評価し,治療ケアを行うと良いと思われる.さらに,これらを考慮した発症前の,せん妄ハイリスク患者の予防ケアも望まれる. |
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ISSN: | 0916-8443 2189-7824 |
DOI: | 10.15082/jsnt.39.3_412 |