これまでのがん検診と将来像 - 科学的評価を中心に

「抄録」これまでのがん検診は臓器ごとの検査が行われてきた. わが国でのがん検診の導入は, 当初専門家の意見で導入された経緯があるが, がん対策としてのがん検診という考え方の広まりに伴い, 利益と不利益の対比を基準とした科学的評価による推奨, 実効性を加味した議論に沿って厚生労働省の指針によって推奨されるという体制が近年整備されてきた. 近年血液などで全身のがんのスクリーニングを目的としたMCED(Multi-cancer early detection)検査が注目されているが, 発表された報告のほとんどがtwo-gate designを用いており, その結果をsingle-gate desig...

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Published in総合健診 Vol. 50; no. 2; pp. 237 - 241
Main Author 中山富雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本総合健診医学会 10.03.2023
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Summary:「抄録」これまでのがん検診は臓器ごとの検査が行われてきた. わが国でのがん検診の導入は, 当初専門家の意見で導入された経緯があるが, がん対策としてのがん検診という考え方の広まりに伴い, 利益と不利益の対比を基準とした科学的評価による推奨, 実効性を加味した議論に沿って厚生労働省の指針によって推奨されるという体制が近年整備されてきた. 近年血液などで全身のがんのスクリーニングを目的としたMCED(Multi-cancer early detection)検査が注目されているが, 発表された報告のほとんどがtwo-gate designを用いており, その結果をsingle-gate designで行われた既存の検査法の結果と比較してはいけない. リキッドバイオプシーに限っては, 米英の大規模研究が進行中であり, その結果が期待されるところである.
ISSN:1347-0086
DOI:10.7143/jhep.50.237