左右側下顎後退量に配慮し片側下顎小臼歯抜去を行った下顎骨の右方偏位を伴う顎変形症例

「緒言」1990年より特定医療機関における顎変形症患者に対する外科的矯正治療の健康保険が適用されており, 外科的矯正治療が社会的に広く認知されてきている. われわれの附属病院における患者調査においても, 全矯正患者における外科的矯正治療患者の占める割合は, 10年間を通して10%前後で推移していた. また, これまでに外科的矯正治療患者のうち約11%~18%に顔面非対称が認められたとの報告もなされている. 顔面非対称に対し下顎の偏位を改善するためには, 顎矯正手術時に上顎骨の咬合平面の改善や, 非偏位側の下顎骨の後退量を多く設定し, 水平ならびに垂直的に下顎骨を回転移動させ, 下顎正中を顔面正...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 27; no. 4; pp. 221 - 229
Main Authors 樋田, 真由, 後藤, 滋巳, 宮地, 斉, 鈴木, 靖彦, 藤原, 琢也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 15.12.2017
日本顎変形症学会
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ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd.27.221

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Summary:「緒言」1990年より特定医療機関における顎変形症患者に対する外科的矯正治療の健康保険が適用されており, 外科的矯正治療が社会的に広く認知されてきている. われわれの附属病院における患者調査においても, 全矯正患者における外科的矯正治療患者の占める割合は, 10年間を通して10%前後で推移していた. また, これまでに外科的矯正治療患者のうち約11%~18%に顔面非対称が認められたとの報告もなされている. 顔面非対称に対し下顎の偏位を改善するためには, 顎矯正手術時に上顎骨の咬合平面の改善や, 非偏位側の下顎骨の後退量を多く設定し, 水平ならびに垂直的に下顎骨を回転移動させ, 下顎正中を顔面正中に一致させる必要がある. しかし, 下顎骨の偏位を認めても, 偏位側臼歯の近心転位により上下臼歯の対咬関係の左右差を認めない症例では, 下顎における非抜歯または左右対称な抜歯を行うと, 術前矯正治療により上下顎の歯列正中は一致することとなり, 下顎骨やオトガイの正中と下顎歯列の正中は一致しない. この状態で顎矯正手術を行うと, 下顎の左右の後退量に差が生じさせることができず顔面の非対称を十分に改善できない. 今回, 顔面非対称を伴うskeletal Class III切端咬合症例に対し, 顎矯正手術による下顎骨の左右の後退量に留意し抜歯部位を選定し外科的矯正治療を行い, 良好な結果を得たので報告する.
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd.27.221