中枢神経炎症性脱髄性疾患の最近の進歩

「はじめに」ここ最近, 中枢神経炎症性脱髄性疾患の病態の理解, 診断, 治療は大幅に進歩してきている. 代表的な中枢神経系炎症性脱髄性疾患である多発性硬化症(multiple sclerosis: MS)の治療において, 国内では現在合計8種類の疾患修飾薬(disease modifying drugs: DMD)が使用可能となり, 再発を抑制するだけでなく, 病態の進行も抑制できるようになってきている. さらに, 従来は主に再発寛解型MSが治療対象となっていたが, 最近では二次進行型MSにおいても病態進行を抑えうるDMDが処方可能となった. 世界的なエビデンスとして, より早期にDMDを導入...

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Published in神経治療学 Vol. 41; no. 3; pp. 214 - 217
Main Author 磯部, 紀子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経治療学会 2024
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ISSN0916-8443
2189-7824
DOI10.15082/jsnt.41.3_214

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Summary:「はじめに」ここ最近, 中枢神経炎症性脱髄性疾患の病態の理解, 診断, 治療は大幅に進歩してきている. 代表的な中枢神経系炎症性脱髄性疾患である多発性硬化症(multiple sclerosis: MS)の治療において, 国内では現在合計8種類の疾患修飾薬(disease modifying drugs: DMD)が使用可能となり, 再発を抑制するだけでなく, 病態の進行も抑制できるようになってきている. さらに, 従来は主に再発寛解型MSが治療対象となっていたが, 最近では二次進行型MSにおいても病態進行を抑えうるDMDが処方可能となった. 世界的なエビデンスとして, より早期にDMDを導入することで長期予後を改善しうることが示され, 国内においても, ここ最近DMDが広く使用されるようになったことを反映し, MSの障害度が軽症化している. これからは, MSをいかに早く診断して, いかに早くDMDを導入するかが, 患者の予後を守る上で非常に重要である.
ISSN:0916-8443
2189-7824
DOI:10.15082/jsnt.41.3_214