ウイルス性肝炎の検診にあたって知っておきたいこと
「抄録」肝炎ウイルスマーカーを測定する最大の目的は肝炎ウイルス陽性者を早期に発見し, 肝細胞癌を予防することである. 現在, 肝細胞癌患者の8割以上は, ウイルス肝炎を基礎疾患としている. HBV, HCVともウイルスキャリアを早期に発見し, 抗ウイルス療法を行うことで肝細胞癌の予防が可能である. HBs抗原陽性者を発見した場合, その多くは慢性肝炎である. 慢性肝炎の自然史のどの時点に被検者があるかを判断し, 予後や治療の必要性を決定する必要がある. 予後の推定は各種ウイルスマーカーの測定である程度可能であるが, 専門医との連携が必要である. いずれにしても「肝機能が正常だからHBs抗原陽性...
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Published in | 総合健診 Vol. 40; no. 2; pp. 281 - 286 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本総合健診医学会
2013
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Summary: | 「抄録」肝炎ウイルスマーカーを測定する最大の目的は肝炎ウイルス陽性者を早期に発見し, 肝細胞癌を予防することである. 現在, 肝細胞癌患者の8割以上は, ウイルス肝炎を基礎疾患としている. HBV, HCVともウイルスキャリアを早期に発見し, 抗ウイルス療法を行うことで肝細胞癌の予防が可能である. HBs抗原陽性者を発見した場合, その多くは慢性肝炎である. 慢性肝炎の自然史のどの時点に被検者があるかを判断し, 予後や治療の必要性を決定する必要がある. 予後の推定は各種ウイルスマーカーの測定である程度可能であるが, 専門医との連携が必要である. いずれにしても「肝機能が正常だからHBs抗原陽性でも専門医への紹介は不要である」と考えるのは間違いである. HCV抗体陽性者を発見した場合, HCV-RNAを測定し, ウイルスの感染が持続しているかを評価する必要がある. HCV-RNAが陽性の場合, 慢性肝炎であることがほとんどである. |
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ISSN: | 1347-0086 |
DOI: | 10.7143/jhep.40.281 |