上下顎同時骨延長術を施行した著しい垂直的上顎劣成長を伴う下顎前突症の1例

「緒言」垂直的な上顎劣成長の改善のためにLe Fort I型骨切り術による上顎の下方移動を行う場合, 骨片間にスペースが生じるため咬合力に対する十分な安定性が得られず, 最も後戻りのリスクが高い上顎の手術であると分類されている. 下方移動に伴う後戻りを防止するために骨移植や骨切ラインの工夫が行われることがあるが, 近年では骨延長術も適応可能な手術方法の一つと考えられる. 今回われわれは著しい垂直的な上顎劣成長を改善するために歯槽骨延長器を用いて上下顎同時骨延長術を行い良好な結果が得られた1例を経験したので, その概要を報告する. 「症例」「患者」: 25歳, 男性. 「初診」: 2011年10...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 26; no. 4; pp. 275 - 283
Main Authors 村田, 彰吾, 小野, 卓史, 高須, 曜, 藤内, 祝, 岩井, 俊憲, 本田, 康二, 藤田, 紘一, 山下, 陽介, 大村, 進, 渋谷, 直樹, 島崎, 一夫, 米満, 郁男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 15.12.2016
日本顎変形症学会
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ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd.26.275

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Summary:「緒言」垂直的な上顎劣成長の改善のためにLe Fort I型骨切り術による上顎の下方移動を行う場合, 骨片間にスペースが生じるため咬合力に対する十分な安定性が得られず, 最も後戻りのリスクが高い上顎の手術であると分類されている. 下方移動に伴う後戻りを防止するために骨移植や骨切ラインの工夫が行われることがあるが, 近年では骨延長術も適応可能な手術方法の一つと考えられる. 今回われわれは著しい垂直的な上顎劣成長を改善するために歯槽骨延長器を用いて上下顎同時骨延長術を行い良好な結果が得られた1例を経験したので, その概要を報告する. 「症例」「患者」: 25歳, 男性. 「初診」: 2011年10月. 「主訴」: 笑った時に上顎前歯が見えない. 「家族歴」: 父が骨格性下顎前突症. 「既往歴」: 特記事項なし. 「現病歴」: 矯正歯科にて幼少期より反対咬合を指摘され, 将来的に外科的矯正治療が必要になると説明を受けていた.
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd.26.275