術前の薬剤誤嚥による気管粘膜障害が遷延する術後嗄声の一因と考えられた1症例

症例は71歳,男性.前医で急性冠症候群と診断され,当院に搬送後,緊急冠動脈バイパス術を行った.前医でアスピリンとプラスグレルを服用していた.気管挿管を含め麻酔経過に問題なく,挿管後29時間に抜管したが,直後より嗄声および嚥下機能障害を認めた.症状は改善しなかったため術後13日に喉頭内視鏡検査を行ったところ右声帯麻痺があり,声帯直下に白色の錠剤の付着と同部位の粘膜にびらん・潰瘍形成を認めた.転院先で嚥下訓練を行い,術後4カ月の再診時には嗄声は改善していた.遷延した嗄声の一因として,付着した薬剤による気管粘膜障害に伴う声帯麻痺が示唆された....

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 41; no. 1; pp. 32 - 35
Main Authors 飽田, 久扇子, 中嶋, 健, 大吉, 貴文, 棚平, 千代子, 前川, 謙悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.01.2021
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Summary:症例は71歳,男性.前医で急性冠症候群と診断され,当院に搬送後,緊急冠動脈バイパス術を行った.前医でアスピリンとプラスグレルを服用していた.気管挿管を含め麻酔経過に問題なく,挿管後29時間に抜管したが,直後より嗄声および嚥下機能障害を認めた.症状は改善しなかったため術後13日に喉頭内視鏡検査を行ったところ右声帯麻痺があり,声帯直下に白色の錠剤の付着と同部位の粘膜にびらん・潰瘍形成を認めた.転院先で嚥下訓練を行い,術後4カ月の再診時には嗄声は改善していた.遷延した嗄声の一因として,付着した薬剤による気管粘膜障害に伴う声帯麻痺が示唆された.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.41.32