滲出性中耳炎症例における誘発耳音響放射の検討

誘発耳音響放射 (EOAE) は現在様々な分野に応用が試みられているが, 中耳伝音系に異常がなく, ティンパノグラムA型の正常耳, 感音難聴耳に対しての報告がほとんどである. しかし, 中耳の病態によりEOAEにどのような影響が現れるのか, 検討が必要と思われ, 今回, 滲出性中耳炎 (SOM) 耳を対象に検討した. 結果は純音聴力閾値上昇が軽度であるSOM耳でさえ, 著しいEOAEみかけの閾値上昇がしばしば認められた. この原因として, SOMによる中耳伝音系障害のため, 刺激音は中耳を通過する際減衰し内耳へ伝わり, 内耳より発生したEOAEもまた中耳で減衰して外耳道へ放射され, 往路・復路...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 96; no. 9; pp. 1423 - 1429,1575
Main Authors 川浪, 貢, 柏村, 正明, 犬山, 征夫, 寺倉, 直明, 石川, 和郎, 千田, 英二, 佐藤, 信清, 佐藤, 公輝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.09.1993
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.96.1423

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Summary:誘発耳音響放射 (EOAE) は現在様々な分野に応用が試みられているが, 中耳伝音系に異常がなく, ティンパノグラムA型の正常耳, 感音難聴耳に対しての報告がほとんどである. しかし, 中耳の病態によりEOAEにどのような影響が現れるのか, 検討が必要と思われ, 今回, 滲出性中耳炎 (SOM) 耳を対象に検討した. 結果は純音聴力閾値上昇が軽度であるSOM耳でさえ, 著しいEOAEみかけの閾値上昇がしばしば認められた. この原因として, SOMによる中耳伝音系障害のため, 刺激音は中耳を通過する際減衰し内耳へ伝わり, 内耳より発生したEOAEもまた中耳で減衰して外耳道へ放射され, 往路・復路と二度減衰を受けることによると考えられた.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.96.1423