視覚性注意障害(Holmes and Horrax)およびataxie optique(Garcin)を示した進行性核上性麻痺(Richardson症候群)の1例

症例は72歳男性,右利き.2年前から小歩・物忘れ・易転倒性で発症し,神経学的・神経放射線学的には進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy; PSP)が疑われ,視野の異常はなかった.神経心理学的には,全般性の知能低下と注意障害を背景として,視空間定位障害と視覚性注意障害があり,これに伴う空間性失書と構成障害他の検査成績の低下を認めた.本例の症候は典型的なPSPにHolmes and Horraxの視覚性注意の障害およびGarcinのataxie optiqueが合併していると考えられるが,PSPにおいて本例の如く視空間認知の障害が前景に立つ例の報告は筆者らの...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in臨床神経学 Vol. 59; no. 11; pp. 730 - 735
Main Authors 森島, 亮, 板東, 充秋, 角南, 陽子, 磯﨑, 英治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2019
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は72歳男性,右利き.2年前から小歩・物忘れ・易転倒性で発症し,神経学的・神経放射線学的には進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy; PSP)が疑われ,視野の異常はなかった.神経心理学的には,全般性の知能低下と注意障害を背景として,視空間定位障害と視覚性注意障害があり,これに伴う空間性失書と構成障害他の検査成績の低下を認めた.本例の症候は典型的なPSPにHolmes and Horraxの視覚性注意の障害およびGarcinのataxie optiqueが合併していると考えられるが,PSPにおいて本例の如く視空間認知の障害が前景に立つ例の報告は筆者らの知る限りなく,文献的考察を加え報告する.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001273