赤痢アメーバと腸管スピロヘータの混合感染による大腸潰瘍性病変の1例

• Published in: Progress of Digestive Endoscopy Vol. 80; no. 2; pp. 118 - 119
• Main Authors: 渡辺, 憲明, 中野, 雅, 芹澤, 宏, 常松, 令, 土本, 寛二, 森永, 正二郎, 加藤, 裕佳子, 井口, 清香, 松下, 美紗子, 日比, 紀文
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 10.06.2012; 日本消化器内視鏡学会関東支部会
• Subjects: アメーバ性大腸炎; 腸管スピロヘータ症
• ISSN: 1348-9844; 2187-4999
• DOI: 10.11641/pde.80.2_118

「はじめに」 腸管スピロヘータ症は糞口感染によりヒト, サル, ブタなどに水様下痢を引き起こしうる人畜共通感染症で, 性行為感染症としての報告も散見される. 今回, 無症状で便潜血陽性を契機に発見された赤痢アメーバと腸管スピロヘータの混合感染による大腸潰瘍性病変の1例を経験したので報告する. 「症例」 患者:64歳, 男性. 主訴:便潜血陽性. 既往歴:膀胱癌, 胃潰瘍(7年前H.pylori除菌). 生活歴:同性愛歴なし, シンガポール渡航後. 現病歴:生来健康で消化器症状は特に認めなかった. 人間ドックで便潜血陽性を指摘され来院し, 下部消化管内視鏡検査を施行した. 身体所見:特記すべき異常を認めず. 検査成績:血液検査では末梢血, 肝腎機能, CEAに異常なく, HBs抗原, HCV抗体, HIV抗体および血清梅毒反応も陰性であった. 大腸内視鏡で盲腸から上行結腸にかけて, 周囲に浮腫状粘膜や発赤を伴い, 汚い白色粘液が付着した大小の不整形地図状潰瘍が多発していた.