潰瘍性大腸炎非典型例と鑑別を要したDiverticular colitisの1例

「はじめに」Diverticular colitis(DC)は, 憩室を伴う腸管の粘膜にみられる慢性活動性炎症全般をさす概念の疾患である. 欧米での報告が多く, 本邦での報告は少数にとどまる. 今回われわれは, 潰瘍性大腸炎非典型例と鑑別を要したDCの1例を経験したので報告する. 「症例」「患者」: 73歳, 男性. 「既往歴」: 62歳時に脳梗塞, 心房細動. 「現病歴」: 63歳時に出血性胃潰瘍で入院した際に施行した腹部CT検査で上行結腸の壁肥厚を指摘されたが, 下部消化管内視鏡検査(TCS)では, 多発憩室のみであった. 67歳時にHb9.7g/dlの貧血を認めたためTCSを施行した....

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 88; no. 1; pp. 136 - 137
Main Authors 伊藤, 広通, 草野, 昌男, 駒沢, 大輔, 高橋, 成一, 土佐, 正規, 池谷, 伸一, 樋渡, 信夫, 池田, 智之, 中山, 晴夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 11.06.2016
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.88.1_136

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Summary:「はじめに」Diverticular colitis(DC)は, 憩室を伴う腸管の粘膜にみられる慢性活動性炎症全般をさす概念の疾患である. 欧米での報告が多く, 本邦での報告は少数にとどまる. 今回われわれは, 潰瘍性大腸炎非典型例と鑑別を要したDCの1例を経験したので報告する. 「症例」「患者」: 73歳, 男性. 「既往歴」: 62歳時に脳梗塞, 心房細動. 「現病歴」: 63歳時に出血性胃潰瘍で入院した際に施行した腹部CT検査で上行結腸の壁肥厚を指摘されたが, 下部消化管内視鏡検査(TCS)では, 多発憩室のみであった. 67歳時にHb9.7g/dlの貧血を認めたためTCSを施行した. 上行結腸に発赤, びらん, 狭小化を認めたが, 生検では非特異的腸炎であった. 68歳時のTCSでは, 上行結腸に血管透見不良, 発赤, 小黄色斑を認めたが, 直腸の血管透見は良好であった. 上行結腸の生検で陰窩膿瘍を伴う著明な炎症細胞浸潤を認めたため, 潰瘍性大腸炎非典型と診断, メサラジン4,000mgから開始した.
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.88.1_136