腎臓移植におけるエピトープミスマッチ解析の意義について

「I. はじめに」多くの要因が腎移植患者の長期生存に影響を及ぼしているが, 中でもヒト白血球抗原(Human Leukocyte Antigen: HLA)は特に重要である. HLAタイピング技術は進化し, 3次元の構成要素をより正確に決定可能になった. そして, HLA抗体検査の最新技術が普及し, リスク予測も可能になりつつある. しかしながら, 拒絶反応発症原因や移植腎喪失に抗体が関与していることは変わらない. これは, 主要組織適合遺伝子複合体(Major Histocompatibility Complex: MHC)が拒絶反応に深く関与しており, HLAミスマッチ数や種類が細胞性と抗...

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Published in移植 Vol. 56; no. 3; pp. 293 - 303
Main Authors 尾本, 和也, 田邉, 一成, 古澤, 美由紀, 石田, 英樹, 神澤, 太一, 海上, 耕平, 清水, 朋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2021
日本移植学会
Subjects
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.56.3_293

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Summary:「I. はじめに」多くの要因が腎移植患者の長期生存に影響を及ぼしているが, 中でもヒト白血球抗原(Human Leukocyte Antigen: HLA)は特に重要である. HLAタイピング技術は進化し, 3次元の構成要素をより正確に決定可能になった. そして, HLA抗体検査の最新技術が普及し, リスク予測も可能になりつつある. しかしながら, 拒絶反応発症原因や移植腎喪失に抗体が関与していることは変わらない. これは, 主要組織適合遺伝子複合体(Major Histocompatibility Complex: MHC)が拒絶反応に深く関与しており, HLAミスマッチ数や種類が細胞性と抗体関連拒絶反応の両方を引き起こすことを示唆している. HLA抗体は, 術前に検出されるドナー特異的HLA抗体(Donor Specific Antibody: DSA)も重要であるが, 移植後に検出されるde novo DSA(dnDSA)も重要とされ, 腎機能を悪化させる独立した危険因子であることは広く知られている.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.56.3_293