拡大内視鏡にて観察し得た原発性虫垂癌の1例

「症例」患者:73歳, 男性. 既往歴, 家族歴:特記すべき事項なし. 現病歴:便秘・下腹部痛を主訴に平成14年2月当科を受診. 検査所見:炎症反応は陰性. CEA 8.9mg/dlと軽度の高値を認めた. 腹部CT(Fig. 1):盲腸末端にやや不均一に造影される不整な壁肥厚を認めた. 虫垂に嚢胞形成を認めず, 遠隔転移を認めなかった. 腹部超音波:盲腸にびまん性の壁肥厚と虫垂に棒状の腫大を認めた. 注腸造影(Fig. 2):盲腸下極になだらかな粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認め, 虫垂は造影されなかった. 大腸内視鏡検査(Color 1, 2):虫垂開口部は確認できなかった. 盲腸下極に限局して...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 62; no. 2; pp. 110 - 111
Main Authors 猪瀬, 崇徳, 工藤, 智洋, 真下, 利幸, 塩島, 正之, 笹本, 肇, 内田, 信之, 飯塚, 賢一, 山田, 昇司, 家田, 敬輔, 湯浅, 圭一朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2003
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.62.2_110

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Summary:「症例」患者:73歳, 男性. 既往歴, 家族歴:特記すべき事項なし. 現病歴:便秘・下腹部痛を主訴に平成14年2月当科を受診. 検査所見:炎症反応は陰性. CEA 8.9mg/dlと軽度の高値を認めた. 腹部CT(Fig. 1):盲腸末端にやや不均一に造影される不整な壁肥厚を認めた. 虫垂に嚢胞形成を認めず, 遠隔転移を認めなかった. 腹部超音波:盲腸にびまん性の壁肥厚と虫垂に棒状の腫大を認めた. 注腸造影(Fig. 2):盲腸下極になだらかな粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認め, 虫垂は造影されなかった. 大腸内視鏡検査(Color 1, 2):虫垂開口部は確認できなかった. 盲腸下極に限局して発赤および軽度隆起を伴う易出血性の顆粒状粘膜を認めた. インジゴカルミン散布による拡大観察では, 開口部と思われる部位は無構造, いわゆるVN型pit patternであった. その周囲の強い発赤の部位はI型pit patternであった. 各々の部位より拡大観察下に生検を行った. 生検病理組織学的所見:VN型pit patternを呈する部位からの生検にて, 不規則な腺管構造を示す異型円柱細胞と間質に著明な粘液産生を認めた. 一方, 周囲のI型pit patternを呈する部位からの生検では異型細胞を認めなかった. 以上より原発性虫垂腺癌, mucinous adenocarcinomaと診断し, 平成14年3月20日腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行した.
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.62.2_110