若年で発症した十二指腸GISTの1例

「はじめに」Gastrointestinal stromal tumor(GIST)とは, 従来, 平滑筋腫や神経鞘腫とされていた消化管の間葉系腫瘍を包括する概念である. 近年, 免疫組織化学的手法の発展により組織由来の鑑別が行われるようになってきたが, その診断基準や分類は未だ充分には確立されていない. 今回我々は若年で発症した十二指腸GISTの1例を経験したので, 文献的考察を加え報告する. 「症例」患者;32歳, 男性. 主訴:腹部腫瘤. 既往歴, 家族歴:特記すべきことなし. 現病歴:平成12年5月中旬より右上腹部腫瘤を自覚し5月23日当院受診. 受診時, 血液検査で著明な貧血を認め,...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 58; no. 2; pp. 104 - 105
Main Authors 大川, 伸一, 梶原, 博, 北村, 匡, 川添, 一哉, 鈴木, 園子, 橘田, 輝雄, 西岡, 道人, 大野, 隆, 篠田, 政幸, 中安, 邦夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2001
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.58.2_104

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Summary:「はじめに」Gastrointestinal stromal tumor(GIST)とは, 従来, 平滑筋腫や神経鞘腫とされていた消化管の間葉系腫瘍を包括する概念である. 近年, 免疫組織化学的手法の発展により組織由来の鑑別が行われるようになってきたが, その診断基準や分類は未だ充分には確立されていない. 今回我々は若年で発症した十二指腸GISTの1例を経験したので, 文献的考察を加え報告する. 「症例」患者;32歳, 男性. 主訴:腹部腫瘤. 既往歴, 家族歴:特記すべきことなし. 現病歴:平成12年5月中旬より右上腹部腫瘤を自覚し5月23日当院受診. 受診時, 血液検査で著明な貧血を認め, 腹部超音波上右上腹部に約10cm大の充実性腫瘤を認めたため精査加療目的で入院となった. 入院時現症:眼瞼結膜に著明な貧血を認めた. 右上腹部に約10cm大の弾性硬, 可動性及び圧痛のない腫瘤が触知された. 入院時検査成績:Hb 6.4g/dL, Ht 23.1%, MCV 55.7fl, MCH 15.4pg, MCHC 27.7g/dL, Fe 9μg/dL, TIBC 427g/dL, Ferritin 0.9ng/mLと鉄欠乏性貧血を認めた. LDHや腫瘍マーカーであるCEA, CA19-9は正常であった. 腹部CT所見:十二指腸壁から肝下面におよぶ, 径10cm大で内部に壊死を伴い, 一部造影される充実性腫瘤を認めた(Fig.1).
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.58.2_104