脳死下臓器提供の意思決定に至るまでの家族に対する看護実践
「I. 緒言」脳死とされうる状態とは, 「器質的脳障害により深昏睡および自発呼吸を消失した状態と認められ, かつ, 器質的脳障害の原疾患が確実に診断されていて, 原疾患に対して行い得るすべての適切な治療を行った場合であっても回復の可能性がないと認められる状態」である. 患者が脳死とされうる状態であると判断されれば, 家族は臓器提供の機会があることを告げられる. 脳死下臓器提供に至った患者の原疾患の6割以上は脳血管障害であると言われている. このことから, 脳死とされうる状態は突然の発症が多いと推察される. また, 脳死下臓器提供の事前意思を書面で表明している割合は12.6%と報告されている....
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Published in | 移植 Vol. 56; no. 3; pp. 283 - 291 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2021
日本移植学会 |
Subjects | |
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Summary: | 「I. 緒言」脳死とされうる状態とは, 「器質的脳障害により深昏睡および自発呼吸を消失した状態と認められ, かつ, 器質的脳障害の原疾患が確実に診断されていて, 原疾患に対して行い得るすべての適切な治療を行った場合であっても回復の可能性がないと認められる状態」である. 患者が脳死とされうる状態であると判断されれば, 家族は臓器提供の機会があることを告げられる. 脳死下臓器提供に至った患者の原疾患の6割以上は脳血管障害であると言われている. このことから, 脳死とされうる状態は突然の発症が多いと推察される. また, 脳死下臓器提供の事前意思を書面で表明している割合は12.6%と報告されている. さらに, これまで改正臓器移植法施行後から現在までに実施された脳死下臓器提供687件のうち, 本人の意思表示による提供は149件, 家族承諾による提供は538件と報告されている. すなわち, 改正臓器移植法施行後に実施された脳死下臓器提供の約80%は家族承諾による実施である. |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.56.3_283 |