下顎関節突起に転移した腎盂尿管癌の1例

腎盂尿管癌の口腔内への転移は極めてまれである。われわれは,腎盂尿管癌が下顎関節突起に転移した1例を経験したので報告する。症例は70歳男性で,右顎関節部の自発痛を主訴としてわれわれの診療科を受診した。パノラマX線写真で右下顎関節突起に瀰漫性のX線透過像が,またCT画像とMR画像で同部に辺縁境界不明瞭な腫瘤影が確認された。一方で男性は,当院泌尿器科で左腎盂癌の診断を受けていた。重複癌の除外診断を得るために,われわれは,右下顎関節突起の組織検査を行い,泌尿器科医は,左腎尿管全摘出術を行った。両者の病理組織学的診断より,腎盂扁平上皮癌の口腔内転移と診断された。患者は姑息的な全身化学療法を受けたが,原発...

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 29; no. 2; pp. 45 - 51
Main Authors 小松原, 秀紀, 小林, 正樹, 南川, 勉, 日向, 信之, 重岡, 学, 古森, 孝英, 長谷川, 巧実, 武田, 大介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会 15.06.2017
日本口腔腫瘍学会
Subjects
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ISSN0915-5988
1884-4995
DOI10.5843/jsot.29.45

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Summary:腎盂尿管癌の口腔内への転移は極めてまれである。われわれは,腎盂尿管癌が下顎関節突起に転移した1例を経験したので報告する。症例は70歳男性で,右顎関節部の自発痛を主訴としてわれわれの診療科を受診した。パノラマX線写真で右下顎関節突起に瀰漫性のX線透過像が,またCT画像とMR画像で同部に辺縁境界不明瞭な腫瘤影が確認された。一方で男性は,当院泌尿器科で左腎盂癌の診断を受けていた。重複癌の除外診断を得るために,われわれは,右下顎関節突起の組織検査を行い,泌尿器科医は,左腎尿管全摘出術を行った。両者の病理組織学的診断より,腎盂扁平上皮癌の口腔内転移と診断された。患者は姑息的な全身化学療法を受けたが,原発腫瘍と全身転移の制御は不可能であった。
ISSN:0915-5988
1884-4995
DOI:10.5843/jsot.29.45