転移性と考えられる4型大腸癌の1例
「はじめに」大腸は転移を受けにくい臓器と考えられ, 転移性大腸癌の頻度は0.1~1%1)とされている. 今回我々は胃癌術後4年目に虫垂と直腸に同時性に転移がみられた症例を経験した. 肉眼型は両病変共にびまん浸潤型大腸癌で組織型は印環細胞癌であった. 術前検査および術中所見からリンパ行性転移および播種性転移は否定的であり, 上腸間膜動脈(SMA)の最終支配領域である虫垂と下腸間膜動脈(IMA)の最:終支配領域である直腸に転移巣を形成していたことより, 胃印環細胞癌の血行性転移が強く疑われ, 本症例は極めてまれな疾患と考えられたので報告する. 「症例」患者:51歳, 男性. 主訴:下血. 家族歴:...
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Published in | Progress of Digestive Endoscopy Vol. 59; no. 2; pp. 106 - 107 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
2001
日本消化器内視鏡学会関東支部会 |
Subjects | |
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ISSN | 1348-9844 2187-4999 |
DOI | 10.11641/pde.59.2_106 |
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Summary: | 「はじめに」大腸は転移を受けにくい臓器と考えられ, 転移性大腸癌の頻度は0.1~1%1)とされている. 今回我々は胃癌術後4年目に虫垂と直腸に同時性に転移がみられた症例を経験した. 肉眼型は両病変共にびまん浸潤型大腸癌で組織型は印環細胞癌であった. 術前検査および術中所見からリンパ行性転移および播種性転移は否定的であり, 上腸間膜動脈(SMA)の最終支配領域である虫垂と下腸間膜動脈(IMA)の最:終支配領域である直腸に転移巣を形成していたことより, 胃印環細胞癌の血行性転移が強く疑われ, 本症例は極めてまれな疾患と考えられたので報告する. 「症例」患者:51歳, 男性. 主訴:下血. 家族歴:特記すべきことなし. 既往歴:平成8年4月11日胃癌のため胃全摘術+脾摘+D2郭清が施行された. T3, signet ring cell ca., ly2, v1, n2(#3, 5, 6, 7), P0, H0, stage IIIbであった. 現病歴:胃の手術後CDDP, 5-FUを用いた化学療法を施行し外来通院していたが, 再発なく順調に経過したため, 紹介もとの医院に紹介した. 平成12年12月下血のため同医院を受診し, 精査目的で当科に再紹介された. 腹部CT検査所見:直腸と盲腸に壁の肥厚を伴う病変がみられたが, リンパ節転移あるいは腹膜播種を疑わせる所見はみられなかった(Fig.1). 注腸検査では下部直腸に約8cmの高度な全周性狭窄が認められ, この病変より口側は読影困難であった. 大腸内視鏡検査では下部直腸に高度な狭窄性病変がみられるものの病変には弾性があり, 大腸鏡は狭窄部を容易に通過できtotal colonoscopyが可能であった. |
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ISSN: | 1348-9844 2187-4999 |
DOI: | 10.11641/pde.59.2_106 |