腎移植後パルボウイルスB19感染による赤芽球癆を発症した一例

• Published in: 移植 Vol. 55; no. 3; pp. 325 - 330
• Main Authors: 出羽, 彩, 青柳, 武史, 荒巻, 和代, 吉田, 直裕, 今村, 豊, 島, 弘志, 緒方, 俊郎, 谷口, 雅彦
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本移植学会 2020; 日本移植学会
• Subjects: ABO-incompatible transplantation; anemia; kidney transplantation; parvovirus B19; pure red cell aplasia
• ISSN: 0578-7947; 2188-0034
• DOI: 10.11386/jst.55.3_325

「I. 緒言」腎移植患者の術後貧血は移植後1か月で70%, 3か月で30%, 1年で20%の患者にみられる. 術後貧血の主な原因には, 内因性出血, 鉄欠乏性貧血, エリスロポエチン抵抗性貧血, ウイルス感染, 免疫抑制剤等があげられ, きわめて稀な原因のひとつにパルボウイルスB19(PV B19)感染による赤芽球癆による貧血がある. われわれは腎移植後3年11か月目に本症を発症した一例を経験したので, これまで本邦で報告された5例を含めて, これらの臨床経過について報告する. 「II. 症例」「患者」: 50代女性「既往歴」: IgA腎症に伴う慢性腎不全「透析歴」: 血液透析5年間「現病歴」: IgA腎症による慢性腎不全に対して5年間の血液透析を経た後に夫をドナーとした生体腎移植(ABO血液型不適合腎移植, HLA typing 2 match, 4 mismatch)を他院で行った.