グルタミン静脈投与の是非
重症患者に対するグルタミンの静脈投与は動物実験や臨床試験にて有効性が認識されガイドラインでも推奨されてきた.しかし近年の大規模臨床試験やメタ解析の結果,その有効性に疑問をもたれ各種ガイドラインでの使用推奨度も下げられているのが現状である.これら大規模臨床試験やメタ解析は信頼度の高いエビデンスとして認識されるが,栄養療法に関する臨床試験は研究デザインが難しいのも事実である.グルタミンの静脈投与の有効性に異を唱えた大規模臨床試験を吟味すると対象患者の均一性や投与量が適切に設定されていないとの指摘もあることから,これらの臨床試験の結果から重症患者への投与は“非”であるとするのは早計であろう.今後は“...
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Published in | 外科と代謝・栄養 Vol. 54; no. 1; pp. 1 - 5 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本外科代謝栄養学会
2020
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Subjects | |
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ISSN | 0389-5564 2187-5154 |
DOI | 10.11638/jssmn.54.1_1 |
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Summary: | 重症患者に対するグルタミンの静脈投与は動物実験や臨床試験にて有効性が認識されガイドラインでも推奨されてきた.しかし近年の大規模臨床試験やメタ解析の結果,その有効性に疑問をもたれ各種ガイドラインでの使用推奨度も下げられているのが現状である.これら大規模臨床試験やメタ解析は信頼度の高いエビデンスとして認識されるが,栄養療法に関する臨床試験は研究デザインが難しいのも事実である.グルタミンの静脈投与の有効性に異を唱えた大規模臨床試験を吟味すると対象患者の均一性や投与量が適切に設定されていないとの指摘もあることから,これらの臨床試験の結果から重症患者への投与は“非”であるとするのは早計であろう.今後は“是”とする臨床研究も参照し,グルタミンの静脈投与により病態の改善が見込める重症患者の特徴や投与量を明確化したうえで臨床試験をさらに展開し,その有効性についての検討を推進する必要がある. |
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ISSN: | 0389-5564 2187-5154 |
DOI: | 10.11638/jssmn.54.1_1 |