経乳頭的膵管ドレナージが奏効した巨大膵仮性囊胞の1例
「はじめに」膵仮性嚢胞は, 急性膵炎, 慢性膵炎の急性増悪, 外傷などの後にしばしば形成され, その治療法は従来外科的治療法が主体であった1). 近年, 超音波画像の精度や手技の向上により, 経皮的ドレナージ術が, また治療内視鏡の発達により, 内視鏡直視下穿刺ドレナージ術が行われるようになった1). しかし, 嚢胞の大きさ, 部位, 壁の厚さ, 症状, 検査所見, 感染の有無, 膵胆管および消化管との関係など, 症例ごとに異なり, 治療法の選択にしばしば難渋する. 今回われわれは径15cmの巨大膵仮性嚢胞に対し内視鏡的膵管ステント留置術を行い, 嚢胞の消失を認めた1例を経験したので報告する....
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Published in | Progress of Digestive Endoscopy Vol. 62; no. 2; pp. 140 - 141 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
2003
日本消化器内視鏡学会関東支部会 |
Subjects | |
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ISSN | 1348-9844 2187-4999 |
DOI | 10.11641/pde.62.2_140 |
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Summary: | 「はじめに」膵仮性嚢胞は, 急性膵炎, 慢性膵炎の急性増悪, 外傷などの後にしばしば形成され, その治療法は従来外科的治療法が主体であった1). 近年, 超音波画像の精度や手技の向上により, 経皮的ドレナージ術が, また治療内視鏡の発達により, 内視鏡直視下穿刺ドレナージ術が行われるようになった1). しかし, 嚢胞の大きさ, 部位, 壁の厚さ, 症状, 検査所見, 感染の有無, 膵胆管および消化管との関係など, 症例ごとに異なり, 治療法の選択にしばしば難渋する. 今回われわれは径15cmの巨大膵仮性嚢胞に対し内視鏡的膵管ステント留置術を行い, 嚢胞の消失を認めた1例を経験したので報告する. 「症例」患著:61歳, 男性. 主訴:心窩部痛. 既往歴:40歳より慢性膵炎, 膵石症あり. 53歳より慢性腎不全にて透析中. 飲酒歴:ビール2,500ml/日×30年. 喫煙歴:なし. 家族歴:特記事項なし. 現病歴:平成14年4月2日, 心窩部痛が出現し, 近医を受診. 慢性膵炎の急性増悪と診断され入院した. 絶食, 補液, 蛋白分解酵素阻害薬投与にて治療を開始した. 膵炎の症状は改善したが, 4月11日の腹部CT検査(Fig. 1)で径15cm大の多房性の巨大膵仮性嚢胞を認めたため, 4月15日に加療目的で当院に転院となった. 入院時現症:眼瞼結膜に軽度貧血を認めた以外に特記事項なし. |
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ISSN: | 1348-9844 2187-4999 |
DOI: | 10.11641/pde.62.2_140 |