COVID-19感染拡大下における歯科受診行動 ─どんな人が歯科受診に不安を抱いているのか

COVID-19はパンデミックとなり,日本でも緊急事態宣言が発令された.歯科医療は治療の特性から,歯科医師と患者の交差感染リスクが高い可能性がある.本研究は,COVID-19感染拡大下の一般住民における歯科受診行動の実態を調査し,院内感染への懸念から,歯科受診に対して強い不安を抱いている者の特徴について検討することを目的とした.一般住民対象のWebアンケート調査を使用し,解析対象者は2020年5月1日~10日に回答した1,885名(女性798名)とした.基本属性および5つの歯科受診に係わる項目について単純集計を行った.さらに,院内感染への懸念から,歯科受診に対して強い不安を抱くかと,性別,年齢...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 70; no. 3; pp. 168 - 174
Main Authors 小山, 史穂子, 竹内, 研時
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2020
日本口腔衛生学会
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Summary:COVID-19はパンデミックとなり,日本でも緊急事態宣言が発令された.歯科医療は治療の特性から,歯科医師と患者の交差感染リスクが高い可能性がある.本研究は,COVID-19感染拡大下の一般住民における歯科受診行動の実態を調査し,院内感染への懸念から,歯科受診に対して強い不安を抱いている者の特徴について検討することを目的とした.一般住民対象のWebアンケート調査を使用し,解析対象者は2020年5月1日~10日に回答した1,885名(女性798名)とした.基本属性および5つの歯科受診に係わる項目について単純集計を行った.さらに,院内感染への懸念から,歯科受診に対して強い不安を抱くかと,性別,年齢,居住地域,これまでの歯科受診頻度との関連を,ポアソン回帰分析で検討しPrevalence ratio(PR)を算出した.緊急事態宣言後に,歯科医院に行く予定がない者を除いた688名の内,47.2%が予約の取り消しや変更などで歯科受診しなかった一方,52.8%は歯科受診していた.院内感染への懸念から,歯科受診に対して強い不安を抱いていると回答した者は454 名(全体の24.1%)いた.多変量ポアソン回帰分析の結果,男性と比較し女性(PR=1.25,95%信頼区間=1.06;1.48),これまでの歯科受診頻度が「年に数回」の者と比較し「困った時のみ通院」の者(PR=1.36,95%信頼区間=1.15;1.61)で歯科受診に対して強い不安を抱く割合が有意に高かった.本研究結果は今後のウィズ/ポストコロナ時代の歯科受診行動を考えるうえで貴重な資料となり得る.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.70.3_168