TRPV1チャネルを介した変形性膝関節症痛 : in vivoパッチクランプ法を用いた解析

「はじめに」変形性膝関節症は高齢者に多い加齢疾患であり, 整形外科領域においては外来で診療に接することが多い疾患の一つである. 患者の主な主訴は疼痛であり, 特に歩行や階段昇降などの荷重時痛が強い. 運動器における疼痛はADLやQOLを低下させるため, 変形性膝関節症は運動器不安定症候群(ロコモティブシンドローム)の3大原因の一つに位置づけられており, 積極的な加療が勧められている. 外来で患者にこの疾患の病態を説明する際には, 「軟骨がすり減ったことにより骨同士の衝突が起きて痛みを引き起こす」と簡易に説明することで患者側も納得してくれる. しかしながら, レントゲン分類上の変形性膝関節症の進...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inPAIN RESEARCH Vol. 29; no. 3; pp. 171 - 179
Main Authors 谷口亘, 西尾尚子, 山中学, 清行康邦, 曽根勝真弓, 吉田宗人, 中塚映政
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本疼痛学会 30.08.2014
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「はじめに」変形性膝関節症は高齢者に多い加齢疾患であり, 整形外科領域においては外来で診療に接することが多い疾患の一つである. 患者の主な主訴は疼痛であり, 特に歩行や階段昇降などの荷重時痛が強い. 運動器における疼痛はADLやQOLを低下させるため, 変形性膝関節症は運動器不安定症候群(ロコモティブシンドローム)の3大原因の一つに位置づけられており, 積極的な加療が勧められている. 外来で患者にこの疾患の病態を説明する際には, 「軟骨がすり減ったことにより骨同士の衝突が起きて痛みを引き起こす」と簡易に説明することで患者側も納得してくれる. しかしながら, レントゲン分類上の変形性膝関節症の進行度と疼痛の程度は必ずしも相関していない. 例えば, レントゲン分類の一つKellgren-Lawrence分類で末期を示すstage 4の患者で外見もO脚の強いものが意外と痛みを訴えず, 初期, 進行期のstage 1,2の患者が意外と痛みが強いことは臨床現場の整形外科医はよく経験しているかと思われる.
ISSN:0915-8588
DOI:10.11154/pain.29.171