巨大シャント血管を用いて中肝静脈再建を行った生体右葉肝移植術の一例
「I. はじめに」 生体肝移植において右葉グラフトが選択された場合, ドナー残肝機能を考慮し, 中肝静脈(MHV)をドナーに残してグラフト採取術が行われることが多い. MHV灌流域の鬱血が原因となりグラフト機能低下が発症することを回避するため, レシピエントにおける種々のMHV再建法が報告されている. 今回, 巨大シャント血管を自家血管グラフトとして使用した1例について報告する. 「II. 症例」 患者: 50歳代男性. X-17年9月に肝生検にて非アルコール性肝硬変と診断され, 肝機能が増悪し, X年2月に肝S8に一部造影効果を伴う3cmの肝細胞癌(HCC)が出現した. 同時点でのChild...
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Published in | 移植 Vol. 57; no. 2; pp. 183 - 187 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2022
日本移植学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.57.2_183 |
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Summary: | 「I. はじめに」 生体肝移植において右葉グラフトが選択された場合, ドナー残肝機能を考慮し, 中肝静脈(MHV)をドナーに残してグラフト採取術が行われることが多い. MHV灌流域の鬱血が原因となりグラフト機能低下が発症することを回避するため, レシピエントにおける種々のMHV再建法が報告されている. 今回, 巨大シャント血管を自家血管グラフトとして使用した1例について報告する. 「II. 症例」 患者: 50歳代男性. X-17年9月に肝生検にて非アルコール性肝硬変と診断され, 肝機能が増悪し, X年2月に肝S8に一部造影効果を伴う3cmの肝細胞癌(HCC)が出現した. 同時点でのChild-Pughスコア8点(Grade B), MELDスコアは8点であった. 経カテーテル的動脈塞栓術では治療効果が不十分となる部位が残る可能性があると判断され, X年3月に肝移植目的にて当科へ紹介となった. |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.57.2_183 |