痛みの改善に伴う脳活動の変化 ──fMRIによる検討

近年の画像診断技術の進歩に伴い, 様々な器質的な異常を画像として捉えることが可能となってきた. 一方, 痛みの程度やその種類などについては通常の画像検査所見と一致しないことも多く, 評価困難な痛みが存在することもしばしば経験される. その原因としては, 痛みは末梢からの侵害受容性刺激による要素だけでなく, 神経系の異常などにより修飾されたり, 心因性の要素が関わるなど, 複合した要素から成り立つため, 個人差が大きくなっているものと考えられる. 今回我々は, 痛みの発生源となっている局所の変化の如何に関わらず, 痛みは脳が経験しているという観点から脳イメージング法functional MRI(...

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Published inPAIN RESEARCH Vol. 20; no. 3; pp. 111 - 115
Main Authors 谷口, 慎一郎, 田中, 茂樹, 谷, 俊一, 牛田, 享宏, 池本, 竜則, 佐々木, 俊一, 森尾, 一夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本疼痛学会 2005
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ISSN0915-8588
2187-4697
DOI10.11154/pain.20.111

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Summary:近年の画像診断技術の進歩に伴い, 様々な器質的な異常を画像として捉えることが可能となってきた. 一方, 痛みの程度やその種類などについては通常の画像検査所見と一致しないことも多く, 評価困難な痛みが存在することもしばしば経験される. その原因としては, 痛みは末梢からの侵害受容性刺激による要素だけでなく, 神経系の異常などにより修飾されたり, 心因性の要素が関わるなど, 複合した要素から成り立つため, 個人差が大きくなっているものと考えられる. 今回我々は, 痛みの発生源となっている局所の変化の如何に関わらず, 痛みは脳が経験しているという観点から脳イメージング法functional MRI(以下fMRI)を用いて, 痛みの症状出現とその改善を脳内の活動で評価することで, 経時的に変化する痛みを客観的に評価する試みを行った. 今回研究に用いたカプサイシンは近年同定されたC線維上の受容体TRPV1を介して, 熱に対する痛覚閾値を下げるように作用することが知られており, 更にブラジキニンやプロスタノイド等により, その活性が増強されることが知られている4, 7).
ISSN:0915-8588
2187-4697
DOI:10.11154/pain.20.111