小児キアリI型奇形の手術

キアリI型奇形は病態が複雑で選択する術式も多様で治療成績も異なる.自施設で大孔部骨性減圧と硬膜外層切除を行った18例中,頭蓋底陥入症合併例では脊髄空洞症の改善率が有意に低いという結果だった.文献的には,硬膜拡大形成や小脳扁桃焼灼を行うかどうかに関して,治療効果が優れる一方で手術合併症も高いというジレンマを抱えており,一定の見解が得られていない.治療成績向上と合併症減少を両立するためには,初回手術の段階で硬膜拡大形成や小脳扁桃焼灼の妥当性を術前に判断できるとよい.そのためにはさらなる症例の蓄積と検討が必要である....

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Published in小児の脳神経 Vol. 46; no. 1; pp. 22 - 28
Main Authors 君和田, 友美, 林, 俊哲, 白根, 礼造, 冨永, 悌二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児神経外科学会 2021
日本小児神経外科学会
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Summary:キアリI型奇形は病態が複雑で選択する術式も多様で治療成績も異なる.自施設で大孔部骨性減圧と硬膜外層切除を行った18例中,頭蓋底陥入症合併例では脊髄空洞症の改善率が有意に低いという結果だった.文献的には,硬膜拡大形成や小脳扁桃焼灼を行うかどうかに関して,治療効果が優れる一方で手術合併症も高いというジレンマを抱えており,一定の見解が得られていない.治療成績向上と合併症減少を両立するためには,初回手術の段階で硬膜拡大形成や小脳扁桃焼灼の妥当性を術前に判断できるとよい.そのためにはさらなる症例の蓄積と検討が必要である.
ISSN:0387-8023
2435-824X
DOI:10.34544/jspn.46.1_22