下痢原性大腸菌O-166陽性で発症した潰瘍性大腸炎の1例
「はじめに」腸管常在菌の1つである大腸菌のうち, 腸管に感染し, 下痢や胃腸炎などの症状を惹起する特定の大腸菌は下痢原性大腸菌と総称される1). 今回我々は下痢原性大腸菌O-166陽性で発症した潰瘍性大腸炎の1例を経験したので報告する. 「症例」患者:42歳, 女性. 主訴:腹痛, 下痢, 血便. 既往歴, 家族歴:特記事項なし. 現病歴:2001年9月7日より腹痛, 下痢, 血便, 発熱が出現し, 9月14日に当院を受診し, 入院となった. 海外渡航歴はなかった. 入院時現症:腹部所見は平坦, 軟, 臍周囲に軽度圧痛を認めたが, 腹膜刺激症状はなく, 体温37.8℃であった. 入院時検査所見...
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Published in | Progress of Digestive Endoscopy Vol. 62; no. 2; pp. 114 - 115 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
2003
日本消化器内視鏡学会関東支部会 |
Subjects | |
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ISSN | 1348-9844 2187-4999 |
DOI | 10.11641/pde.62.2_114 |
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Summary: | 「はじめに」腸管常在菌の1つである大腸菌のうち, 腸管に感染し, 下痢や胃腸炎などの症状を惹起する特定の大腸菌は下痢原性大腸菌と総称される1). 今回我々は下痢原性大腸菌O-166陽性で発症した潰瘍性大腸炎の1例を経験したので報告する. 「症例」患者:42歳, 女性. 主訴:腹痛, 下痢, 血便. 既往歴, 家族歴:特記事項なし. 現病歴:2001年9月7日より腹痛, 下痢, 血便, 発熱が出現し, 9月14日に当院を受診し, 入院となった. 海外渡航歴はなかった. 入院時現症:腹部所見は平坦, 軟, 臍周囲に軽度圧痛を認めたが, 腹膜刺激症状はなく, 体温37.8℃であった. 入院時検査所見:WBC 10,610/μl, CRP 20.7mg/dlと炎症反応が上昇していた. 臨床経過:9月14日の便培養で大腸菌血清型O-166が検出され, 毒素原性大腸菌による感染性腸炎と診断した. 抗生剤を含む薬剤による保存的治療によって便培養は早期に陰性となったが, 下痢, 血便の改善がなかなかみられず, 自覚症状の軽快を待って11月15日に大腸内視鏡検査を施行した(Color 1). びまん性のびらん, 潰瘍, 粘膜浮腫, pseudopolyposisを認め, 易出血性のためにS状結腸より口側には挿入できず, 臨床所見, 検査所見より潰瘍性大腸炎と診断した. 生検所見でもcryptabscessやびまん性炎症細胞浸潤がみられ, 潰瘍性大腸炎活動期の所見と一致した. |
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ISSN: | 1348-9844 2187-4999 |
DOI: | 10.11641/pde.62.2_114 |