腎移植患者の自己管理行動及び満足度に関連する要因の分析

「I. 緒言」末期腎不全患者にとって腎移植医療は, 多くのメリットを有する治療法であるといえる. 移植した腎臓の長期生着のためには, 患者自身の自己管理は必須であるが, 自己管理を長期に継続していくことは困難を生じやすいと予測され, 移植後経過の長期化に伴い, 免疫抑制薬やセルフモニタリングに対する意識が低くなるという報告もあるように, 患者自身の怠薬により, 移植腎が廃絶する例も少なくない. 善意により提供されたドナーの腎臓を守るためには, 腎移植患者のセルフケア能力を高め, ノンアドヒアランスを回避するための援助が必要であり, 医療者は腎移植患者が満足できる医療サービスを提供しなければなら...

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Published in移植 Vol. 55; no. 3; pp. 307 - 317
Main Authors 谷口, 未佳子, 剣持, 敬, 朝居, 朋子, 明石, 優美, 田﨑, あゆみ, 中村, 小百合
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
日本移植学会
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Summary:「I. 緒言」末期腎不全患者にとって腎移植医療は, 多くのメリットを有する治療法であるといえる. 移植した腎臓の長期生着のためには, 患者自身の自己管理は必須であるが, 自己管理を長期に継続していくことは困難を生じやすいと予測され, 移植後経過の長期化に伴い, 免疫抑制薬やセルフモニタリングに対する意識が低くなるという報告もあるように, 患者自身の怠薬により, 移植腎が廃絶する例も少なくない. 善意により提供されたドナーの腎臓を守るためには, 腎移植患者のセルフケア能力を高め, ノンアドヒアランスを回避するための援助が必要であり, 医療者は腎移植患者が満足できる医療サービスを提供しなければならない. 末期腎不全の治療選択をする際に, 専門家による早期の適切な情報提供や患者教育を行うことは, 患者に意思決定を考えさせることや気づきを促進させ, 適切な意思決定支援(Shared Decision Making: SDM)ができると報告されている.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.3_307