十二指腸主乳頭，副乳頭部腺腫を内視鏡的に切除し得た家族性大腸腺腫症の1例

• Published in: Progress of Digestive Endoscopy Vol. 77; no. 2; pp. 102 - 103
• Main Authors: 山極, 哲也, 大楽, 尚弘, 島田, 憲宏, 小島, 敏明, 織内, 竜生, 池谷, 伸一, 樋渡, 信夫, 土佐, 正規, 草野, 昌男
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2010; 日本消化器内視鏡学会関東支部会
• Subjects: 内視鏡的乳頭切除術; 家族性大腸腺腫症
• ISSN: 1348-9844; 2187-4999
• DOI: 10.11641/pde.77.2_102

「はじめに」家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis;FAP)は, 大腸全体に腺腫が多発し, 放置すればほぼ全例に大腸癌が発生する常染色体優性の遺伝性疾患である. 大腸外病変では, 十二指腸癌が大腸癌に次ぐ予後規定因子とされている. 今回我々は, FAPに併発した十二指腸主乳頭部, 副乳頭部の腺腫に対し内視鏡的治療を行った1例を経験したので報告する. 「症例」患者：76歳, 女性. 主訴：十二指腸隆起性病変の加療目的. 既往歴：41歳時に大腸亜全摘術. 71歳時に直腸癌EMR. 家族歴：父が, 胃癌. 姉, 弟がFAPで全大腸切除. 現病歴：平成16年から上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行脚に小ポリープが認められていたが, 平成21年5月の検査で下行脚から水平脚に3個の隆起性病変が認められたため切除目的で入院した. 入院時現症：身長142.5cm, 体重50.3kg, 眼瞼結膜に貧血なく, 腹部に正中に手術痕を認めた. 入院時検査成績(Table1)：血算で貧血はなく, 腫瘍マーカーではCEAが軽度上昇していた.