下顎前歯部に発症した類血管腫型線維性組織球腫の1例
類血管腫型線維性組織球腫(Angiomatoid fibrous histiocytoma : 以下AFH)は四肢に好発する中間悪性型軟部腫瘍であり,口腔内に発生するのは非常にまれである。今回われわれは下顎前歯部に発生し,診断に苦慮したAFHのmyxoid variant(粘液型亜型)の1例を経験したので報告する。症例は17歳,男性。右側下顎前歯部歯肉の腫脹を主訴として当科紹介受診した。右側下顎前歯部舌側歯肉に直径20mm,表面粘膜正常で弾性軟の境界明瞭な腫瘤を認めた。パノラマX線画像にて右側下顎側切歯,犬歯間に直径20mmの境界明瞭な骨透過像を認め,歯根吸収は認めなかった。CT画像にて右下2...
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Published in | 日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 37; no. 2; pp. 65 - 71 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
2025
日本口腔腫瘍学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0915-5988 1884-4995 |
DOI | 10.5843/jsot.37.65 |
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Summary: | 類血管腫型線維性組織球腫(Angiomatoid fibrous histiocytoma : 以下AFH)は四肢に好発する中間悪性型軟部腫瘍であり,口腔内に発生するのは非常にまれである。今回われわれは下顎前歯部に発生し,診断に苦慮したAFHのmyxoid variant(粘液型亜型)の1例を経験したので報告する。症例は17歳,男性。右側下顎前歯部歯肉の腫脹を主訴として当科紹介受診した。右側下顎前歯部舌側歯肉に直径20mm,表面粘膜正常で弾性軟の境界明瞭な腫瘤を認めた。パノラマX線画像にて右側下顎側切歯,犬歯間に直径20mmの境界明瞭な骨透過像を認め,歯根吸収は認めなかった。CT画像にて右下2,3間の舌側皮質骨および歯槽突起の吸収を認めた。MR画像にてT1強調画像にて低信号を,T2強調画像で高信号を呈した。生検を行ったところ確定診断には至らず粘液型腫瘍(Myxoid tumor)の報告であった。その後,全麻下に腫瘍摘出術を施行しAFHの診断を得た。術後2年が経過するが,再発および転移は認めない。本腫瘍は,臨床所見,画像所見では他の腫瘍と鑑別が困難であり,また病理組織学的に多彩な組織像を呈することから生検から確定診断が得られるとは限らない。確定診断にはFISHが必要となる。本症例においても切除標本におけるFISHで確定診断に至った。 |
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ISSN: | 0915-5988 1884-4995 |
DOI: | 10.5843/jsot.37.65 |