膵壊死を伴った自己免疫性膵炎の1例

症例は60歳代,男性.食欲低下,体重減少,黄疸,糖尿病の増悪で入院した.血液検査所見ではIgG 2446 mg/dl,IgG4 232 mg/dlと高値を認めた.画像検査では総胆管壁肥厚と狭窄,膵頭部腫大,Capsule-like rim,主膵管のびまん性の不整狭細像を認めた.膵尾部には嚢胞様病変を認め,内部にはT1強調像・T2強調像で高信号の領域があり陳旧性の出血が疑われた.22GのFranseen針を用いて超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引生検を行い,膵体部の腫大した膵実質からの組織診で自己免疫性膵炎と診断した.膵尾部の嚢胞様病変からの組織診では膵壊死を認めた.ステロイド内服治療により肝胆道系酵...

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Published in膵臓 Vol. 34; no. 1; pp. 9 - 14
Main Authors 児玉, 亮, 鎌倉, 雅人, 三枝, 久能, 牛丸, 博泰, 牧野, 睦月, 川口, 研二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 25.02.2019
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Summary:症例は60歳代,男性.食欲低下,体重減少,黄疸,糖尿病の増悪で入院した.血液検査所見ではIgG 2446 mg/dl,IgG4 232 mg/dlと高値を認めた.画像検査では総胆管壁肥厚と狭窄,膵頭部腫大,Capsule-like rim,主膵管のびまん性の不整狭細像を認めた.膵尾部には嚢胞様病変を認め,内部にはT1強調像・T2強調像で高信号の領域があり陳旧性の出血が疑われた.22GのFranseen針を用いて超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引生検を行い,膵体部の腫大した膵実質からの組織診で自己免疫性膵炎と診断した.膵尾部の嚢胞様病変からの組織診では膵壊死を認めた.ステロイド内服治療により肝胆道系酵素異常は改善した.ステロイド導入1ヶ月後のMRI検査では胆管狭窄・膵腫大の改善を認め,3ヶ月後には膵壊死は消失した.壊死を伴う自己免疫性膵炎の報告は過去になく貴重な症例と思われたので報告する.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.34.9