巨大および大型未破裂内頚動脈瘤に対する母血管閉塞術後の併存脳動脈瘤の増大および新規脳動脈瘤の発生に関する長期成績
巨大および大型未破裂内頚動脈瘤に対して母血管閉塞術(parent artery occlusion:PAO)が行われてきた.PAOは脳動脈瘤の根治率は高いが,合併症として併存脳動脈瘤の増大や新規脳動脈瘤の発生の報告がある.巨大および大型未破裂内頚動脈瘤に対するPAO後の併存脳動脈瘤の増大や新規脳動脈瘤の発生に関する成績を報告する.2002年1月から2015年3月に巨大および大型未破裂内頚動脈瘤に対して血管内治療によるinternal trappingでPAOを行い,12カ月以上追跡できた症例を対象とし,後ろ向きに検討した.その結果,30症例が該当した.年齢の中央値は64歳(interquart...
Saved in:
Published in | 脳卒中の外科 Vol. 52; no. 4; pp. 265 - 271 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
2024
日本脳卒中の外科学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 巨大および大型未破裂内頚動脈瘤に対して母血管閉塞術(parent artery occlusion:PAO)が行われてきた.PAOは脳動脈瘤の根治率は高いが,合併症として併存脳動脈瘤の増大や新規脳動脈瘤の発生の報告がある.巨大および大型未破裂内頚動脈瘤に対するPAO後の併存脳動脈瘤の増大や新規脳動脈瘤の発生に関する成績を報告する.2002年1月から2015年3月に巨大および大型未破裂内頚動脈瘤に対して血管内治療によるinternal trappingでPAOを行い,12カ月以上追跡できた症例を対象とし,後ろ向きに検討した.その結果,30症例が該当した.年齢の中央値は64歳(interquartile range:IQR 57-70),女性28例(93%),追跡期間の中央値は130カ月(IQR 94-163)であった.PAOを行った脳動脈瘤の最大径の中央値は25mm(IQR 20-32)であった.PAO時の併存脳動脈瘤は7例9動脈瘤認め,そのうち2例2動脈瘤が増大した.新規脳動脈瘤は2例2動脈瘤発生した.併存脳動脈瘤の増大部位は対側内頚動脈後交通動脈分岐部,海綿静脈洞部で,増大が確認された時期はおのおのPAO後14カ月,110カ月であった.新規脳動脈瘤の発生部位は対側内頚動脈前床突起部,同側後大脳動脈で,新規発生が確認された時期はおのおのPAO後50カ月,91カ月であった.それらの併存脳動脈瘤が増大もしくは新規脳動脈瘤が発生した4例は,有意に若年であった(44歳vs66歳,p=0.01).若年者はPAO後の併存脳動脈瘤の増大もしくは新規脳動脈瘤の発生の危険因子であり,慎重にフォローする必要がある. |
---|---|
ISSN: | 0914-5508 1880-4683 |
DOI: | 10.2335/scs.52.265 |