筋萎縮性側索硬化症の代謝異常と栄養療法

「I. 体重減少とエネルギー代謝亢進」筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)は, 上位・下位運動ニューロンが選択的に変性することにより, 進行性の骨格筋萎縮を呈するが, その病初期もしくは病前から筋萎縮や嚥下障害では説明できない体重減少を呈することが知られている. 体重減少の原因は多要因であると考えられており, 骨格筋量の減少, 摂食嚥下障害によるエネルギー摂取量の低下, 進行期における呼吸障害による呼吸筋エネルギー消費の増大のほか, 疾患特異的なエネルギー代謝の亢進状態(hypermetabolism)が存在すると言われている. 体重減少を呈...

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Published in神経治療学 Vol. 39; no. 1; pp. 22 - 26
Main Author 清水, 俊夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経治療学会 2022
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ISSN0916-8443
2189-7824
DOI10.15082/jsnt.39.1_22

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Summary:「I. 体重減少とエネルギー代謝亢進」筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)は, 上位・下位運動ニューロンが選択的に変性することにより, 進行性の骨格筋萎縮を呈するが, その病初期もしくは病前から筋萎縮や嚥下障害では説明できない体重減少を呈することが知られている. 体重減少の原因は多要因であると考えられており, 骨格筋量の減少, 摂食嚥下障害によるエネルギー摂取量の低下, 進行期における呼吸障害による呼吸筋エネルギー消費の増大のほか, 疾患特異的なエネルギー代謝の亢進状態(hypermetabolism)が存在すると言われている. 体重減少を呈する神経変性疾患は多数あるが, ALSが他の疾患と異なるのは, 病初期の体重減少が独立した生命予後予測因子であることが確立されていることである. 1999年に初診時の肥満度指数(body mass index:BMI)が18.5kg/m2未満の患者では生命予後が極めて悪いことが最初に報告された後, 同じような報告が現在まで数多く発表されている. 本邦でも発症から診断時までのBMI減少率が2~2.5kg/m2/年以上の患者は生命予後が悪いと報告された.
ISSN:0916-8443
2189-7824
DOI:10.15082/jsnt.39.1_22